さくらルート52
おへそが赤い原因は分かった。
「………………」
……………待てよ。
「もしかして、私の指にも何かした?」
「言わなきゃ、ダメ?」
何かしてるよ、この子。
「怒らない?」
「……………………………………怒らない」
「絶対怒るよ~。今、変な間があったもん!」
「怒らないから。それで何したの?」
「しちゃった」
「……何を?」
「りっちゃんの匂いを嗅いでたら……エッチな気分になって。それで、一人で……しちゃった」
「……………………」
わーお。
まさかの衝撃発言である。
清純派ヒロインのスキャンダルである。
今日一番のトップニュースである。
いや、まー、一人でするのは仕方ない。
俺だって息子が居たときは毎日してたし。
だけどーー
「それと私の指に何の関係が?」
「りっちゃんの指で……したから」
「…………」
「…………」
「…………あーなるほど」
「…………へへっ」
「………………はあああああああああああッ!?」
俺の大声にさくらちゃんは肩を跳ねあげる。
「ううっ。怒らないって、言ったのに」
「いや! 怒ってな。え、私の指で? お、ん? ちょ、整理させて。スーハ~」
俺は大袈裟に深呼吸を繰り返して心を落ち着かせる。
「えーつまり。さくらちゃんは私の指で、そのー、あれをしたと」
「……はい」
グスン、と涙を堪えるさくらちゃん。
俺は件の自分の指を見る。
お前、俺より先に大人になったんだな。
「ごめんね。何回もしたから痛めちゃった?」
「あ、いや。ちょっとだけだよ………………ん?」
今、さらりとヤバイこと言わなかったか?
「え、一回だけじゃないの?」
「え? あッ!」
自分が墓穴を掘ったことに気付いたらしい。
「ちなみに……何回したの?」
「……二回」
さくらちゃんが顔を逸らす。
「本当は?」
「……三回です」
増えたよ……
「本当に? 嘘吐いてない?」
ジーっと俺はさくらちゃんを疑いの眼差しで見続ける。
堪えられなくなったのか、さくらちゃんが震え出す。
「四回! これが本当ッ! それ以上はしてないから!」
「いや、十分ギルティだよッ!」
「そんな~!」
俺のツッコミにさくらちゃんはまた泣きそうになる。
「だって~! りっちゃんがベロチューしてくれないから~! 我慢出来なくて~! りっちゃんが悪いんだよ~!」
「根に持ってたの!?」
「りっちゃんが優しくて、格好良くて、エッチな匂いがするのが悪いの! 私は発情しちゃっただけだもん!」
凄いよ、この子。
開き直ったよ。
もう、キャラ崩壊してるよ。
清純派何処に置いてきたの?
まあ、エッチなさくらちゃんも好きだけど。
「だからベロチューしてください!」
そして要求してきたよ。




