さくらルート51
「んう」
俺は眩しさで目を覚ます。
カーテンの隙間から伸びた明かりが俺を起こしたみたいだ。
「朝か」
ボリボリと頭を掻く。
「……マジか」
時計を見たら十時近かった。
ガッツリ寝てしまったようで目覚ましにも気付かなかったみたいだ。
今日が日曜で本当に良かった。
「ん? さくらちゃんは?」
隣で寝ていたはずのさくらちゃんが居なかった。
先に起きているらしい。
「ん? ん~?」
何故か右手の指に違和感があった。
少し痛いし、何か湿っている。
寝ているときに自分の指でヨダレでも拭いてしまったのか?
でも、人差し指と中指だけ痛いし、湿っている。
………………ダメだ。
頭が回らない。
とりあえず顔を洗おう。
俺は階段を降りると洗面台に向かった。
ジャバジャバと冷たい水で顔を洗っていく。
「ん?」
何か、お腹もヒリヒリする。
「……あ?」
気になったのでジャージの裾を捲ると、おへその下辺りが赤かった。
最近、似たようなモノを見たことがあるが。
「……まさかな」
俺はひきつりそうな笑いを抑えてリビングに向かう。
「おはよう!」
パジャマから私服に着替えたさくらちゃん。
朝から花のような笑顔を俺に向けてくれる。
マジ、癒される。
「あれ? 母さんと麻衣は?」
「二人とも出掛けてるよ」
ということは、今は二人だけか。
「今、食パン焼いてるんだけど。りっちゃんも食べるよね?」
「あ、うん」
「じゃあ、待っててね」
ふふっと笑うとさくらちゃんはキッチンへ。
なんだか新妻みたい。
……さくらちゃんを奥さんにしたら幸せだろうな~。
なんて思っているとテーブルにトーストとコーンスープが並べられた。
「いただきます」
「いただきます」
二人で手を合わせて朝食を摂った。
「そういえばさ」
トーストをすぐに腹に納めた俺は湯気のたつカップを手に取る。
「私が寝ている間に私に何かした?」
何気なく訊いたのだが……
「ななな、何もしてないよ。うん、何も」
さくらちゃんの目が泳いでいた。
明らかに俺に何かしてるよ。
「朝起きたらさ。おへそが赤かったんだよね」
「そ、そうなんだ。何でだろうね」
あくまでシラを切るつもりなのか。
「な~んか、キスマークっぽいんだよね。おかしいな~」
「ううっ」
あ、さくらちゃん涙目になってる。
「怒らないから、本当のこと言って?」
「本当? 本当にりっちゃん怒らない?」
ああ、今にも泣きそう。
ていうか、やっぱりさくらちゃんか。
「うん、怒らない」
「……分かったよ」
観念したのか、さくらちゃんは一度胸を撫で下ろして呼吸を整える。
その後、頬を赤くしてモジモジし出す。
「夜中に目が覚めたときに、ね。りっちゃんのジャージが捲れてたから直してあげようと思ったんだけど」
「思ったんだけど?」
「その。りっちゃんのお腹、柔らかそうだな~って。実際触ったら本当に柔らかくて。ドキドキしちゃって」
「しちゃって?」
「堪能しちゃった。ごめんなさい!」
恥ずかしかったらしく、両手で顔を覆うさくらちゃん。
いや、俺の方が恥ずかしいんだけど。




