さくらルート44
「とうちゃーく!」
やっと自宅に着いた俺たち。
「麻衣、ドア開けて」
「いや、何で連れてきてるの?」
麻衣の呆れたような声。
俺の背中にはまだ眠っているさくらちゃん。
「まあ、良いじゃないか。うちの方が近いんだし」
「何よそれ」
と、言いながらも麻衣は家の鍵を開けてくれる。
感謝感激である。
「よいしょ」
俺は玄関の段差で腰を下ろす。
「さくらちゃん、着いたよ」
反応がない。寝ているようだ。
「麻衣、さくらちゃんを起こして」
「はーい。えいッ!」
まさかの脳天にチョップ。
「うう。麻衣ちゃん、酷いよ」
頭を押さえて涙目になるさくらちゃん。
「さくらちゃんが悪いんでしょ。帰ってくる途中、起きてたの分かってたよ」
「ごめんなさい……」
しゅんと落ち込むさくらちゃん。
立ち上がると俺たちに頭を下げてくる。
「今日はありがとう。あと、ごめんね。いろいろ巻き込んじゃって」
上がった顔は微笑んでいた。
「じゃあ、帰るね」
「あら、さくらちゃんじゃない」
声の主は母さんだった。
「こんばんは」
「こんばんは。遊びに来てくれたのね。上がって、上がって」
「「「え?」」」
母さんの言葉に俺たちは呆ける。
「どうしたの?」
「え、あ、いや。今帰ってきたところ」
「知ってるわよ。出掛けてたんでしょ? それで今日はうちにお泊まり」
「初耳なんだけど」
「え?」
今度は母さんが呆ける。
「明日は日曜なんだから泊まるんじゃないの?」
「いや、考えてなかったけど」
「あらそうなの。じゃあ今日はどうするの?」
「どうするってーー」
俺はさくらちゃんと麻衣の顔を交互に見る。
さくらちゃんと麻衣は俺を見つめる。
「さくらちゃんはこの後、用事とかあるの?」
「ううん。ないけど」
「泊まる?」
「……良いの?」
ぱあ、とさくらちゃんの表情が明るくなる。
俺は顔を麻衣に向ける。
「良いですか、麻衣さん」
「何で敬語なの?」
お伺いをたてる俺に麻衣は溜め息を吐く。
「別に良いんじゃないの。お姉ちゃんの"友達"! が泊まるぐらい」
麻衣の許可を手に入れた。
「じゃ、じゃあ着替えとか取ってくるね!」
さくらちゃんは慌てて飛び出していった。
俺も後を追って家を出た。
「ちょっと待ってて!」
玄関の扉を開けっぱ。
靴も脱ぎっぱで家の中に消えていくさくらちゃん。
相当、お泊まりが楽しみなんだろう。
「お待たせッ!」
はあはあ、と息を切らせてさくらちゃんが戻ってきた。
手提げを肩にかけ直して笑う。
「じゃあ行こっか!」
今にも鼻歌を歌い出しそうな雰囲気でさくらちゃんは歩き出す。
今日はスゲエ疲れたけど。
さくらちゃんが幸せそうならいっか。
「さくらちゃん、待ってよ~」




