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天ルート78

 場所は変わって空き教室。

 だけどそこは空きではなくなっていた。

「どうも〜。入って入って」

「あ、はい」

 扉に手を掛ける前に教室に招かれた俺とさくらちゃん。

 教室の中央には四人分の机と椅子。

 俺たちは用意されていた席に着く。

 向かいの席にその人は着いた。

「え〜と、隣の人は初めましてで良いのかな?」

 にこやかに笑う相手。

「私は三組の秋山。秋山 さち。三組の学級委員をしてます。気軽にさっちゃんで良いよ〜」

 黒紫の髪と瞳の秋山 幸さんはとても明るい性格らしい。

 さくらちゃんが怖がるようには思えないけど。

「私は相島 立花。さくら……神崎 さくらさんと同じクラスです」

「うんうん。よろしくね、立花さん。でもおかしいな〜」

 幸さんの瞳がさくらちゃんに向く。

「私は一人で来るようにお願いしたはずだけど?」

「そ、それは……」

 さくらちゃんが声を詰まらせる。

 そのための俺だ。

「私は女の子だよ?」

「……ふふっ。見たら分かるよ」

 幸さんの視線が俺へ。

「それで男の子だったらびっくりだよ。まあ、今は女の子より可愛い子も居るけどね。だけど急にどうしたの?」

「いや〜。男が苦手って聞いてたからさ。もしかしてダメだった?」

「……ううん。女の子は好きだよ」

 中身は男で申し訳ない。

「男は嫌いなの。前に少しあってね。まあ、女の子の方がマシってだけだけど」

 再び瞳がさくらちゃんへ。

「でも意外だな〜。男好きだった、さくらさんがね〜」

 含みのある言葉。

「何か変?」

 俺は少しムッとしていた。

 明るいというよりは他人を小馬鹿にしてるように感じ始める。

「ううん。良いと思うよ。同性愛。多様性ってやつだよね。私は祝福するよ。それよりも文化祭の話をしない?」

「そ、そうだよね。そうしようか」

 さくらちゃんが持って来ていた資料を机の上に広げる。

 幸さんも準備した資料を同じく広げる。

 俺はそれを覗き込む。

「でも協力してくれて良かったよ〜。部活動の出し物優先って酷いよね? クラスの出し物だって大事なのにさ〜」

「そ、そうだよね」

 さくらちゃんの言葉が未だに固い。

 さくらちゃんはいじめのこともあり、人に対して敏感なのだ。

 それはつまり目の前の幸さんは、さくらちゃんを怯えさせる何かがあるのか?

「あ、うちもちゃんと許可をもらったからこのまま進めちゃおうか。はい。これがうちで出す予定のメニュー表。電子レンジで作れるレトルトばっかだから模擬店でもオッケーだよ」

 幸さんの説明によると、飲食店ではない模擬店は別途の許可が必要らしく、基本的に手作りは禁止らしい。

 そのためレトルトのような既製品や加熱だけで簡単に調理出来る食品のみで対応。

 実際のメニューはレトルトカレーとうどん、そしてうちのクラスのオムライス、飲み物は缶ジュースを紙コップに注ぐ案らしい。

「クレープも最初は出てたんだけどさ。クリームがダメっぽくて。惣菜クレープは手間だから無しになったんだけど平気?」

「は、はい! これだけあれば十分だと思います」

「そっか! それは良かった〜。じゃあもう少し話を詰めようか」

 俺がそばに居るまま、三十分ほどで打ち合わせは終了したのだった。

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