天ルート3
「彼方先輩!?」
予想外の人物に、俺は驚きに声を上げてしまう。
「お久し振り、というにはあまり期間が開いてはないと思いますが、お久し振りです。あのお祭り以来ですね」
「は、はい。お久し振りです」
「わあ! 本当に相島様なんですね〜」
彼方先輩に両手を取られて激しいハンドシェイク。
なんだかとても嬉しそうだな。
「じ〜」
横からはさくらちゃんの視線。
違うよこれは、浮気じゃないよ?
「相島様の想い人様もお久し振りです!」
「え? あ、は、はい! お久し振りです。わ!?」
彼方先輩のターゲットが俺から隣のさくらちゃんへ。
さくらちゃんも彼方先輩のハンドシェイクの洗礼を受ける。
続いてかぐや、そして矢沢さんに兵藤さんまでハンドシェイク。
「あ……」
だけど友野の前で彼方先輩は固まる。
「え、えと、は、初めまして」
あまりの明るさに別人のようだと思ってはいたが、オドオドし始めたので、間違いなく目の前に居るのは彼方先輩だった。
「彼方さん。俺は友野って言います。此方さんにはよく世話になっています」
友野の紳士的な対応。
「……はい」
だけど彼方先輩は完全に萎縮してしまって瞳を泳がせる。
なんだか急に気まずくなったぞ?
「あーと、どうして彼方先輩がここに?」
「あ、はい。それはーー」
「何だ。集まっていたのか」
背後からの声に俺たちは振り返る。
「よく集まってくれたね。『瞳の能力』を持つ皆」
此方先輩が俺たちに微笑む。
「呼び出しておいて遅れるなんて良いご身分ね」
かぐやが腕を組んで此方先輩を皮肉る。
此方先輩は対して苦笑する。
「それはすまない。こんなすんなり集まるとは思っていなかったから飲み物を買いにね。特に八重橋 かぐや嬢、君が駄々をこねると思っていたから」
「ちょっと! 今、馬鹿にしたでしょ!?」
「まあまあ、落ち着いて八重橋さん」
友野がかぐやを宥める。
此方先輩は俺たちの横を通り、彼方先輩の隣へ。
「はい、姉さん。自販機でお茶を買って来たよ」
「ありがとう、此方ちゃん」
彼方先輩は此方先輩から嬉しそうにお茶のペットボトルを受け取ると、そのままニコニコ。
だけどそのまま小首を傾げる。
「ん? ああ」
此方先輩はそんな彼方先輩から何かを気付く。
「姉さん、そこの白い蓋を外すんだよ」
「蓋? これですか? ふっ!」
「違う違う。上に引っ張るんじゃなくて、捻るように横に回すんだよ」
「ん? こ、こうですか?」
「あ、姉さん。そのままだと蓋が開いた時に溢れちゃうから縦に持ったままだよ」
ペットボトルを開けるのに悪戦苦闘する彼方先輩と不安そうに教える此方先輩。
何か、良いな……百合的に。




