さくらルート33
俺たちは少し早い昼食を摂ることになった。
フードコートで良いものを食べようと思っていたが、さくらちゃんと麻衣がファストフードで良いと譲らなかったので有名チェーン店のハンバーガーを俺たちは食べている。
「本当に良かったの? 奢るとは言ったけど、遠慮はしなくて良かったのに」
お金の心配なんて要らないよ? と告げると二人は苦笑する。
「ううん。ここが良かったんだよ。高校生の私たちにはオシャレなレストランっていうより、こういう場所が落ち着くし」
「私も別に遠慮したとかじゃないよ。家族でレストランは何度も来てるけどさ。こうやってお姉ちゃんとこういう店で過ごしたことなかったから」
二人は満足げに言う。
まあ、二人が良いならこれ以上は何も言わないが。
「でも早めに来て良かったね」
さくらちゃんが俺たちのテーブル席からレジを見る。
ついさっきまでなかった人の列が出来ている。それも三つのレジ全てにだ。
正午が近付いてきているから昼食を摂ろうという考えの人が次々に来ているのだろう。
少しでも遅ければ俺たちも列に並ぶことになってゆっくり出来なかったかもしれない。
「食べ終わった後、何処に行く?」
映画は十三時に着けば十分間に合うから約一時間ぐらい暇になる。
「念のため映画館の近くのお店をぶらぶらしようよ」
「服とか?」
「そうだね。欲しいものとかある?」
「あーいや」
さくらちゃんにそう言われたが服にはそれほど興味がない。
俺は二人のコーデに感想を言うぐらいだろう。
「じゃあそういうことで。ごちそうさま」
俺はオレンジジュースで口の中をさっぱりさせると手を合わせる。
「お姉ちゃん、食べるの早いよ~。ほら、ソース」
「ん、ありがとう」
麻衣が俺の口許に付いていたソースを紙ナプキンで拭ってくれる。
これではどちらが姉だか分からない。
「……ん?」
俺の膝に何かが触れる。
視線を下ろすと手があった。隣に座っているさくらちゃんの手だ。
「…………」
さくらちゃんは俺から顔を逸らしている。まったく意図が分からない。
その手に触れてみる。
すると視線だけがこちらに向く。
もしかしてと思い、そのまま握ってみる。
さくらちゃんも握り返してくれた。
どうやらビンゴみたいだ。
朝繋いだときは麻衣に止められてしまったので、そこからスキンシップを取っていなかった。
そろそろ恋しくなったということか。
俺の彼女は本当に可愛いな。
「お姉ちゃん」
「何?」
「そのニヤケ顔止めて欲しいんだけど。ちょっと引く」
「……ごめん」
感情がすぐに顔に出てしまう癖をどうにかしないと。
というか麻衣に言われると結構心にくるな。
「……また笑ってくれるようになったね」
「え?」
落ち込んでいたせいで麻衣の言葉を聞き逃した。
「何でもないよ。ほら、そろそろ行こう!」
麻衣がトレーを持って立ち上がったので俺とさくらちゃんも彼女に続いた。




