さくらルート24
俺を閉じ込めたさくらちゃんは自分の胸元に手を伸ばす。
リボンが床に落ちる。
「久し振りに話すね、私たち」
白い指がブレザーを、そしてブラウスのボタンを外していく。
「ついこの間まで普通に話してたのにね」
押さえつけられていたさくらちゃんの胸。
それを支えるピンクのブラがブラウスの隙間から見える。
「さ、さくらちゃん?」
さくらちゃんが俺の膝の上に跨がる。
俺が逃げられないように。
「全部、りっちゃんが悪いんだからね?」
さくらちゃんが俺の首に手を回し、唇を奪う。
まるで身体が石のように動かない。
抵抗が出来ない。
「ん……ちゅ。はあ、ちゅ。はあ、はあ、りっちゃん」
何度も何度も俺を求めてくる。
「私は、わんちゃんじゃないから待ては出来ないんだよ?」
俺の手を取り、自分のブラウスの中に入れる。
ブラ越しにさくらちゃんの温もりが、鼓動が伝わってくる。
さくらちゃんの瞳にハートが刻まれていた。
それに俺が映ってる。
「女の子同士なら罪になんてならないよね?」
さくらちゃんが顔を寄せて俺の耳元で囁く。
「痛っつ!?」
首筋に鋭い痛みが奔る。
「しっ-」
俺の口を手で塞ぎ、人差し指を自分の口に当てる。
「え、うっそだ-」
「マジだよ~」
個室の外で声が聞こえる。
他の生徒がトイレに入ってきたらしい。
「こんなことしてるのバレちゃったら学校に居られなくなるね。まあ、止めないけど」
クスリとさくらちゃんの小悪魔笑顔。
そして俺の唇を自分の唇で塞ぐ。
「……行ったね」
声が遠ざかると唇も離れる。
俺は空気を貪るみたいに荒い息を繰り返す。
肺も心臓も頭も自分のドキドキで壊れそうだ。
「そんな顔しないでよ」
俺は自分がどんな顔をしているのか分からない。だけどさくらちゃんが悲しげに笑うから酷い顔をしていたんだろう。
「私から離れないでよ。私を放さないでよ」
さくらちゃんが俺を強く抱き締める。
声が、身体が微かに震えているのが分かる。
だというのにこんな強行策に出るなんてさくらちゃんらしくない。
何が彼女をここまで追い詰めた?
「さくらちゃん、私の顔を見て。私もさくらちゃんの顔が見たい」
「……やだ」
拒絶の言葉。
顔を逸らして目も合わせてくれない。
「好きだよ」
「……嘘つき」
「本当だよ?」
「それならこんなに苦しくないもん」
ああ、と思った。
これ完全に拗ねてる。
さくらちゃんの方から避けてたのに俺が距離を取ったら寂しがるなんて。
女心は難しいな~。




