表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《6,5周年ですよ! &120万PV大感謝! これからもよろしくお願いします!》 ギャルゲー転生 ヒロインたちを攻略しようとしたら俺が攻略対象でした!?  作者: mask
彼方ルート編 続

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

315/1063

彼方ルート85

 俺は本殿の中で目を覚ます。

 クロハたちの戦いから一夜が明けた。

 雑魚寝していたから肩や腰が痛い。

 周りでは、すでに起きている人や疲労でまだ寝ている人が居る。

 皆、何をするまでもなく虚空を見ている。

 俺の目は奥の御簾へ。

 明かりの消えたそこでは彼方先輩が寝ているのだろう。

 力を使いすぎたせいか、無限さんと入れ替わった彼方先輩は眠ってしまったのだ。

「相島」

 声に顔を上げると、目の前に此方先輩が居た。

「少し散歩に行かないかい? 見回りがてらに外の空気を吸おう」

「……そうですね」

 俺は此方先輩の提案に乗って立ち上がる。

 身体を解して二人で本殿を出る。

 本殿には陽の光が射してきて少し眩しい。

 山の上だからだろうか。

 夏だというのに朝の涼しい風に癒される。

 俺たちは無言のまま本殿から拝殿、そして神社の入り口まで。

 鳥居の道を降りていく。

「目の調子はどうだい?」

 階段の途中で此方先輩が立ち止まる。

 俺は右の瞼に触れる。

「ああ、大丈夫ですよ。特に痛みとか違和感はありません」

 昨日の熱が嘘のようになくなり、普段と変わらない。

「そうか。それは良かった」

 本当にそう思っている様に此方先輩は安堵の表情で微笑む。

「此方先輩こそ怪我は?」

「私も大丈夫だよ。まあ、アカメとの戦いは辛かったけど、それだけだよ。君が走り回ってくれたおかげで私は自分の戦いに集中出来た。ありがとう」

 それと、と此方先輩は申し訳なさそうに眉を垂らす。

「君は姉さんの世話役なのに戦いに巻き込んでしまってごめんね」

 俺は首を振る。

「良いんですよ。私は彼方先輩を助けるために来たんですから。これは私がやりたかったことです」

「……そうか。そう言ってもらえると私の心も楽になる」

 苦笑する此方先輩。

 やっぱり彼方先輩に似ている。

 さすが姉妹だ。

「相島」

「はい?」

 唐突に真剣味を帯びる此方先輩の声。

「昨日も無限様に訊かれていたけど、君はどうしてスズを殺さなかったの?」

「理由は単純ですよ。女の子は殺したくない。私は女の子を助けたいんです。殺すなんてまっぴらごめんです」

 俺も真剣な声で返す。

「ふふっ。あはは」 

 此方先輩が口を開けて笑った。

「ど、どうして笑うんですか?」

「いやなに。君が私たちを”女の子“と言うから少しおかしくてね。まるで君が私たちより年上みたいに聞こえるからね」

「ああ、ははは……」

 実際は本当に年上だから感覚が抜けていないみたいだ。

 互いに笑い合う。

「へえ。そうなんだ」

「…………え?」

 何処からか第三者の声。

「それなら“私たち女の子”も助けてもらおうかな?」

「!?」

 視界を覆おうとする何か。

「相島ッ!?」

 此方先輩が俺に手を伸ばす。

 俺も此方先輩に手を伸ばす。

 だけど手が繋がる前に世界は真っ暗になる。

「ようこそ。妖怪の山へ、相島」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ