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《6周年ですよ! &120万PV大感謝! ありがとうございます!》 ギャルゲー転生 ヒロインたちを攻略しようとしたら俺が攻略対象でした!?  作者: mask
ギャルゲー転生編

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隣人ーーその名は友野

「ん?」

 ラノベを読んでいた俺は区切りの良いところで顔を上げると教室は賑やかになっていた。

 そろそろホームルームが始まるらしい。

 まあ、俺は気にせずに再び活字に目を向ける。

 音さえ聞こえていればホームルームなどサボっていたってバレやしない。

「ほらー。席に着け」

 チャイムと同時に女性の若い担任が教壇に立つ。

「あーと、だな。ホームルームを始める前に大事な話がある」

 頭を掻きながら少し真剣な表情をする担任。

「相島が記憶喪失になった」

「えッ!?」

 あっさりと言ったことに俺は驚いたが、それ以上にクラスメイトの驚きは相当なものだった。

「うそッ!?」

「マジで?」

「本当にあんのかそんなこと!」

「やべえな」

 人は心の底から驚くと語彙が極端に変になるらしい。

「ちょうど一時間目はロングホームルームだから皆は相島のために自己紹介をしてやれ。相島~、お前は本を読むのを止めろ」

「さすがにバレたか」

 クラスメイト全員が俺に注目しているので読書を中止する。

「ええと。私のせいですみません。お願いできますか?」

 俺が申し訳なさそうに笑うとクラスメイトの男子生徒数人が頬を赤く染めて固まった。

 さすが外見だけ美少女。

 男なんてイチコロだ。

 まあ、中身は二十歳のDTだが。

 

 

 ホームルームが終わりチャイムが鳴る。

 さて、ラノベの続きをと思ったが、クラスメイトに囲まれてしまう。

「本当に記憶喪失なの?」

「俺は? 俺の名前覚えてる?」

「バーカ! 相島さんがお前みたいなモブ顔覚えてるわけないだろ」

「ちょっと男子うるさい!」

「相島さーん! 俺、相島さんの恋人なんだグホッ!?」

「気持ち悪い嘘を吐くんじゃないわよ!」

 一気に賑やかになる俺の机。

 さすがに困った。

「こらーお前たち。相島を困らせるな」

 近くの男子生徒の頭を出席簿で軽く叩いて現れたのは担任の先生。

「お前の担任の森 夕美だ。担当教科は国語。大変かもしれないが頑張れよ」

 上下ジャージ姿なのでてっきり体育の先生かと思っていたが声に抑揚もなく、やる気がなさそうな担任だ。

「はい。よろしくお願いします、先生」

「ああ。ほら、お前ら席に着け。チャイムがなるぞ~」

 ゆるい担任。

 だが舐められているわけではないらしくクラスメイトたちは間延びした返事をしながらも席に着く。

 やっと落ち着いたのでラノベを開くと隣の席から視線を感じた。

 そちらに目を移すと周りとは違った雰囲気のモブ男子生徒がこっちを見てた。

「……何?」

 さすがに気になったので声をかける。

「いや、相島さんもラノベ読むんだなって。いつもは分厚くて何が書いてるか分からない本読んでたし。もしかして本当はオタクだったの?」

「ラノベも立派な文学だし、オタクで何が悪い?」

 オタクであることを馬鹿にされたように感じたのでジトッと睨み返す。

「ごめん、ごめん。別にラノベやオタクを蔑視してるわけじゃないんだ。というか俺もオタクだし。ただいつもツーンとしていた相島さんの好きなものが俺と同じで嬉しかったんだ」

「私ってツンツンしてたの?」

「自分でそれ言うの? ああ、記憶喪失なんだっけ。そうだな、クールで他人を寄せ付けない感じだったかな」

 そうか。

 俺がこの身体になる前の本当の持ち主はクール系女子だったのか。

 ん?

 俺はこの子の身体に乗り移ったのか? それとも悪役令嬢系ラノベでよくある転生して何かの拍子に前世の記憶を思い出しただけなのか?

 ……いや、後者ではない気がする。だって俺は相島 立花の生活を何も知らなかった。

 乗り移ったといった方が近い気がする。

 ……つまり俺は死んだのか? そういえば最後に何をしていたのか思い出せない。

 俺は相島 立花に取り憑いた亡霊なのか?

「どうしたの、相島さん?」

 俺は頭を振って嫌な考えを捨てた。

「何でもない。それで名前なんて言うの?」

 隣の席なのだから付き合いも多いだろうと思い聴く。

「友野だよ。 友野 弘樹」

「……?」

 その名前を聞いた瞬間、何かが頭の中を巡った。

「知ってるな、その名前」

「え? 覚えていてくれたの?」

「そうじゃなくて。前に何処かで聞いたような。何でだっけ?」

「ははは。俺に聴かれても分かんないや!」

 苦笑する隣人の友野。

 それだけで良い奴なんだと分かった。

「おっと、チャイムが鳴ったな。後でオススメのラノベを教えてくれよな」

「ああ、任せとけ……じゃなかった任せてね!」

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