彼方ルート48
疲れた。
物凄く疲れた。
あの後、ずーっと守羽さんに悪戯されてそれをかわすのに必死だった。
そんな彼女は仕事があるらしくて今は居ない。
「あとは寝るだけか」
もう夜で食事も済ませた。
此方先輩が食事を持ってきてくれたときは思わず身構えてしまったが、様子は争う前に戻っていた。
少しは許してくれたのかもしれない。
「んん。部屋にいなくちゃいけないということは、お風呂ダメなのかな?」
部屋にずっと居たとはいえ今は夏だ。
この寮は電気は通っていても部屋にクーラーの類はない。
疲れているからこのまま寝ても良いが、この汗の気持ち悪さで寝れるか分からない。
トイレは守羽さんが付き添ってくれたから許されたけど、風呂に付き添ってもらうのもな〜。
「…………」
仕方ない。
汗はタオルで拭いて、寝巻きに着替えるか。
俺は巫女服を脱いで下着姿になる。
ふう。
少しは涼しくなった。
さて、タオルタオル。
「相島〜、もう寝ちゃった?」
「げッ!?」
こんなタイミングで守羽さんが帰って来てしまった!
「…………」
「お、お帰りなさい。お疲れ様です」
「ふふっ。私へのご褒美?」
「断じて違いますッ!」
俺は寝巻きを引っ張ってすぐに羽織る。
ここの寝巻きは白くて薄い和服のような物を羽織って腰の紐で留めるだけ。
楽ちんではあるが、服としては少し心許ない。
ましてや守羽さんの前ならなおさらだ。
……というか俺、女の子に襲われるのを嫌がってる?
こうなる前は女の子に迫られるシチュなんて大好物なはずだったのに。
ギャルゲーの世界でとはいえ恋人が出来たからか?
女の子の貞操を守る自衛の感情が芽生えたのかもしれん。
「私、お風呂入ってくるけど相島はどうする?」
「え、入って良いんですか?」
「ただの謹慎みたいなものでしょ。お風呂ぐらい平気よ」
「本当ですか? やった!」
これでこの気持ち悪さともおさらばだ!
「まあ、私と一緒に入るのが条件だけど」
「じゃあ寝ます!」
俺は押し入れから布団を取り出す。
その布団を守羽さんにしまわれる。
「いや、どうしてよ」
「守羽さんと入ったらいじめられるからです!」
守羽さんと裸の付き合いなんてしたら不味いことが起こりそうだ。
ただでさえ今日は弄られ続けたのだから休みたい。
「ちぇ。相島のいろんな所を揉んでやろうと思ったのに」
「セクハラだ! セクハラのお姉さんだ!」
「じゃあ相島は私の裸に興味ないの?」
「な、い……です」
興味ない?
そんなわけないでしょうが!
こちとらDTだわ!
「どうして顔を逸らすの?」
「セクハラお姉さんに見せる顔はないだけです」
「ふーん。ちゅっ」
「わッ!?」
ほっぺにキスされて俺は仰け反る。
そしてそのままーー
「……大丈夫?」
「……なんとか」
天井の蛍光灯が眩しかった。




