かぐやルート44
数分後。
かぐやが戻ってきた。
「ど、どうだった?」
ガチ緊張の俺。
だというのに。
「え、全国行けるけど」
あっさり入賞していた。
「えー。けっこう責任感じてたのに」
「何言ってるの。私は八重橋 かぐやよ? 地区ぐらい楽勝よ」
うわー!
この子嫌だわ!
これだから才能ある奴は!
「ふふっ。まあ、今回は一位を取られちゃったけど、ね?」
かぐやが横目で見たのは神代。
照れている様子からすると彼が優勝したんだろう。
「おめでとう! じゃあ君も全国だね」
神代は嬉しそうに笑う。
「うん! ありがとう!」
「一緒に頑張りましょう?」
「そうだね!」
お、何か良い雰囲気だな。
かぐやが乙女の顔してる。
何だよー。
かぐやも女子じゃん♪
「じゃあ俺たちは帰るか」
邪魔物は退散、退散。
後はお若い二人で。
「え、帰っちゃうの……?」
かぐやが明らかにシュンとする。
ちょっと待て。
そんなに悲しそうにするなよ。
「え、と。何かある?」
「あ、ううん。今日は来てくれてありがとうね。行きましょう、神代くん」
「え、うん」
二人が、かぐやが行ってしまう。
え、これで良いんだよな?
だって俺はかぐやに恋をしてもらうために。
いや、俺は特に何もしてないが、かぐやはヒロインとして自分の主人公を見つけた。
二人はこれから付き合って幸せになる。
それで良いはずーー
「友野、今日は助かった。ありがとう。でも、ごめん。先帰ってて」
「うん。行ってらっしゃい」
俺は察しの良い友野と別れ、
「かぐや」
「え?」
去っていくかぐやの手を掴む。
「二人で話したい。ダメ?」
「ふぇ!? きゅ、急に何よ! んえ!?」
パニクりすぎだよ。
「無理なら良いよ?」
「はあ!? 無理なんて言ってないでしょ! 勝手に決めつけるんじゃないわよ!」
そしてキレないで……
「わ、分かったわ。こ、こっち来て」
「え、ちょっ!」
「神代くんまた学校で!」
腕をぐいっと引っ張られる。
「何処に行くの?」
「更衣室。鍵かけたら誰も来れないから」
そして二人で更衣室へ。
かぐやが鍵をかけると二人っきりになる。
「それで、話って?」
「まずはおめでとう。私も嬉しい」
「そ、そう」
俯いて顔を見てくれない。
「そのドレス、綺麗だよ。学校の制服しか見たことなかったから新鮮だね」
「え、ああ。白は子供っぽいと思ってたんだけど、小さい頃からコンクールはこの色だったから」
「そうなんだ。じゃあ似合ってて当たり前だね」
「……ありがとう」
何だか素っ気ない。
嫌われては……ないよな?
「顔見てくれないの?」
「察しなさいよ、バカ……」
ふむ。
耳が赤いってことは。
「ウェディングドレスみたいで好きだよ、かぐや」
「なッ!」
パクパクと口を開くかぐや。
やっと顔を見てくれた。
「頑張れ、かぐや。応援してるから! なんせ私は親友だからね!」
ポカーンとするかぐや。
だが、クスリと笑う。
「ありがとう、立花!」
かぐやが笑ってくれた。
やっぱり美少女の笑顔は良いなー。
写真集とか欲しいわ(通報ものかこれ?)
まあ、後はかぐやが神代と付き合えば完璧だな。
「じゃあ私は帰るから、またーー」
「ねえ、立花」
「ん?」
かぐやが背を向けてくる。
「どうしたの?」
「ファスナー……下ろして?」
……………………はい?




