日常パート3
さくらちゃんは小さい頃から大人しく、暗いイメージの子だった。
そういう子はいじめの対象になりやすく、実際にさくらちゃんはよくいじめられていた。
そんな彼女を助けていたのが幼馴染みの相島 立花だった。
彼女が泣いていれば話を聴いてくれて、問題を解決してくれた。
さくらちゃんは自分を守ってくれる相島 立花が好きだった。
いつか自分も相島 立花を支えられるような人間になりたいとも思っていた。
だけど、いじめっ子たちからしたら面白くなかった。
中学生だったある日、さくらちゃんはいじめっ子たちに呼び出された。
そして言われた。
『この画鋲を相島 立花の上履きに入れることが出来たら二度といじめない』
そんなことは絶対にダメだと分かっていた。
だけど、さくらちゃんはいつも守られて相島 立花に迷惑をかけているんじゃないかという罪悪感があった。
自分がやったということがバレなければ大丈夫だ。
そうすればいじめはなくなり、相島 立花ともっと楽しい学生生活が送れると思った。
さくらちゃんは画鋲を受け取ってしまった。
そして授業中に仮病を使って教室を抜け出し、相島 立花の下駄箱を開ける。
そこで止めておけば良かった。
でも、さくらちゃんは手を止めることが出来なかった。
上履きじゃなくてローファーだ、なんていうどうでも良いことが頭に浮かんだ。
それほどさくらちゃんは油断していたのだ。
ローファーに画鋲を放り入れて扉を閉めた。
そのときに全てが崩れ去った。
振り返った先に相島 立花が居たのだ。
彼女に一部始終を見られてしまっていたのだ。
さくらちゃんは怖くなって逃げ出した。
このときに訳を説明すれば許してもらえたかもしれない。
そんな甘い考えが過りそうになるが、それ以上に相島 立花に拒絶されることをさくらちゃんは恐れた。
放課後、少し落ち着いたさくらちゃんは罪悪感を抱えたまま教室に戻ると相島 立花は既に帰宅していた。
その先の一週間、相島 立花は学校に来なかった。
そして久し振りに会った彼女は別人のように冷たい人になっていた。
その日から二人は袂を分かつかのように疎遠となった。




