立花ルート37
研究所の門まで日向さんと裕二さんを見送る。
「じゃあね、羽澄さーん。またお店来てよ〜」
「あ、はい。必ず行きます」
ぎゅっと日向さんにハグされる。
「みんなのことよろしくね」
耳元で囁かれてドキッとした。
「ほら行くぞ、酔っ払い」
裕二さんが車のエンジンをかける。
裕二さんて見た目怖いけど、ちゃんとお酒を控えてたんだな。
飲酒運転ダメ絶対。
「あれぐらいで酔っ払うか、ばーか。じゃ、約束だからね!」
可愛くウインクした日向さんが車に乗り込むと夜中の静かな道を走り去って行った。
『羽澄様、門を閉めますね』
守護者の声で門が閉まる。
踵返して寮に戻る。
「西村さん」
西村さんがスカーフに身体を包んで待っていた。
「さっきはありがとうね、羽澄」
疲れたような笑み。
今にも壊れそうな心をギリギリ保っているみたいに見えた。
「いえ。お礼を言われることなんて何も。私だって西村さんの立場だったらーー」
「陽世子って呼んで。ヒヨコじゃなくて陽世子ね」
それは西村さんなりの親しみだと思った。
「分かりました、陽世子さん。これからよろしくお願いします」
「うん。よろしく」
「じゃあ中に入りましょうか」
もう丑三つ時を過ぎ、お酒も入ってもう眠い。
研究と社会復帰の話は起きたら相島さんと瀬名さんに相談しよう。
「……陽世子さん?」
服の裾を掴まれる。
なんだろうと振り返る。
潤んだ瞳が私を見つめる。
「羽澄、一緒に寝て良い?」
「……………………」
へ?
陽世子さんの言葉に思考がおかしくなる
一緒にって、一緒のベットってこと、だよね?
「あ、あのなんで?」
「……嫌だったら大丈夫」
私から離れて行ってしまう。
引き止めねばと反射的に陽世子さんの腕を掴む。
「嫌だって言ってないですよ! ただびっくりしただけですから」
本音を伝える。
今の陽世子さんを放っておけなかった。
「良いの?」
不安の中で期待している瞳。
理由は分からなかった。
だけどぽっと出の私でも良いから縋りたかったのかもしれない。
「寝るだけで陽世子さんが笑ってくれるなら」
目を丸くする陽世子さん。
だがふふっと笑ってくれる。
「羽澄ってモテるでしょ」
「それ瀬名さんにも言われてんですが」
感性が似てるのは双子だからかな。
「じゃあ今夜は甘えさせて」
「はい。良いですよ」
私は陽世子さんに手を引かれて、陽世子さんのベットで一緒に眠った。




