立花ルート35
私の歓迎会が行われた。
瀬名さん、日向さん、裕二さん、咲良ちゃん、月ちゃん、西村さん、そして柳沢さんと乾杯した。
だけど相島さんは最後まで来てくれなかった。
それは少し寂しい。
歓迎会が終わり、咲良ちゃんと月ちゃんが眠りについた夜中。
「誘ったんだけどね」
私の寂しさに気付いてくれたんだろう。
瀬名さんが隣に座ってくれる。
「本当に研究馬鹿だよ、あの子は」
チューハイの缶を傾ける瀬名さん。
火照った横顔が大人の魅力を感じる。
「羽澄さん見過ぎだよ〜♡」
そしてバレた。
「す、すみません」
「別に羽澄さんなら見ても良いよ〜」
「ほら、羽澄に絡まないの」
「あうっ」
西村さんのチョップが瀬名さんの脳天に入る。
「普段飲まないくせに」
酔っ払う瀬名さんに西村さんが溜め息を吐く。
「だって」
瀬名さんがムスッとする。
「今日ぐらいは良いじゃん」
拗ねる姿は先ほどまでの大人の魅力をなくし、親に怒られた子供になった。
「もう水にしておきなさいよ。淹れてくるから」
西村さんがグラスに水を注ぎ、瀬名さんの前にコトンと置く。
瀬名さんはそれから顔を逸らす。
「私だってもう立派な大人だもん……」
「大人もガキも関係ないでしょ。絡み酒は迷惑なだけよ」
そう言って西村さんはビール缶をあおる。
対してシクシクと瀬名さんが泣き始めてしまった!?
「せ、瀬名さん。大丈夫ですか?」
「ーーか」
瀬名さんが何かを呟く。
「立花、一人に、しないで……」
「もう寝な」
瀬名さんの言葉に耳をすませようとしたとき、有無を言わせない西村さんの声。
西村さんは瀬名さんを立ち上がらせると、部屋に連れて行ってしまった。
それは触れてはいけない何かに触れてしまった感覚。
「瀬名はまだ囚われてるの」
今まで黙っていた日向さんが口を開く。
隣の裕二さんも辛そうな顔だった。
「私たちには相島 立花っていう大親友が居たの。学生時代はずっとつるんでたし、大人になっても毎週集まって馬鹿騒ぎして。立花は私たちの中心で、リーダーみたいなやつだった。そんな毎日は心地好かった」
「おい、日向」
裕二さんの咎めるような声。
だけど日向さんは続ける。
「ある日、立花は事故で死んだ。この辺りは車が少ないからね。スポーツカーの新車を買った若い子が最高速度なんてものを求めて法廷速度を超えたスピードで走ってたんだ。立花はそれに跳ねられた。まだ息はあったらしいけど、そいつは人を跳ねてしまった恐怖から立花を見捨てたんだ。それで立花は田舎の誰も居ない道で、ひとりぼっちで死んだ」




