立花ルート11
「本当に良いんですか?」
守護者が顔だけ向く。
「うん。あなたに道案内をお願いしたい。なんかその〜、他のAIの子は怖そうだし」
何の意図があるか分からないが、仮面で素顔を隠しているのは怖い印象がある。
「どうしてもですか?」
「うん! どうしても守護者にお願いしたいな〜」
「……ふふ〜」
守護者の頬が赤く染まる。
「羽澄様がどうしてもって言うのでしたら仕方ないですね〜。ちょっとお待ちくださいね!」
そう言うと、守護者は立ち上がってモニターから消える。
「行っちゃった」
会議室で一人残された私。
どうしようか?
そう思っていると。
『羽澄様、羽澄様!』
守護者の声。
だけどモニターには誰も居ない。
『ここですよ〜』
「ん〜?」
会議室をぐるりと一周見るけど、守護者は見当たらない。
「どこ〜?」
『テーブルですよ〜』
テーブル?
視線をテーブルに下ろす。
あっ。
腕時計が光ってる。
手に取って見てみる。
腕時計のディスプレイ部分。
時間がデジタルで表示されていたが、今は可愛いドット絵のキャラクターの顔になっていた。
もしかしてーー
「守護者?」
『はい! 羽澄様の腕時計に来ちゃいました!』
ドット絵の守護者がニコニコ笑う。
「凄いね。守護者はいろんなところに行けるの?」
『はい! 有線、無線問わずに研究所の敷地でしたら飛んでいけます! あ、プライベートエリアなどは行けませんが、羽澄様の案内でしたら大丈夫です!』
「そっか。じゃあよろしくね!」
『はい! では参りましょうか! まずは会議室を出てください』
守護者の指示通り会議室を出る。
「おっ」
廊下にはファミレスで料理を配膳するようなロボット。
料理を運べるような機能はなさそうだけど、例えるならそれだ。
ロボットのディスプレイが光る。
『研究所内はこの子でご案内いたしますね』
ロボットにも守護者の笑顔が宿る。
『それではこちらです、羽澄様っ!』
「あ、ちょっ」
守護者の後ろを慌てて追いかける。
静かなモーター音と共に廊下を進む。
『今、私たちが居るエリアは外部のお客様でもご利用出来るエリアです。会議室や応接室、休憩室や喫煙所や売店などがあります』
廊下を進むと、エレベーターに行き着く。
そこで守護者がくるりと私に向く。
『そしてここからは研究室です。外部のお客様は立ち入り出来ませんが、羽澄様は許可を得ていますので、腕時計をエレベーターのディスプレイに近付けてください』
「こう?」
守護者に言われた通り、エレベーター横のディスプレイに腕時計を近付ける。
するとディスプレイには『認証許可』の表示。
エレベーターの扉が開く。
私たちはエレベーターに乗り込んで研究室に向かう。




