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旧・鋼の国    作者: Rafu/
第三章 戦争の足音
30/37

悲劇

 バンダーから少し離れた鉱山地帯。その手前にある荒野と草原の境界。

 そこに今、同型機が二機。そして、満身創痍の機体が一機。

 その満身創痍の機体に向かって一人の少女が叫ぶ。

「ソハン!」

 叫んだ少女...リアンに向かって鋼鉄丸が向かおうとする。

 しかし、それを阻むかのように、ファンスルが魔導砲を撃つ。

『邪魔をするな。』

 そう言うとマニュピレーターでそっとリアンを持ち上げ、コクピットを開け中に入れる。

「リアン!」

 鋼鉄丸はファンスルに急接近し、魔導砲を至近距離で発射した。

『...ふん。その程度では傷を入れることはできない!』

 魔導砲を喰らってもかすり傷一つつかない。

「なんだよ...その装甲...」

 ソハンがそう呟いた時だった。コクピット内に警報音が鳴り響き、ガクンと鋼鉄丸が停止したのだ。

「なんだ...?まさかっ!」

 ヴァスティシステムの限界時間だった。



 システムが終了すると同時に、ファンスルが歩いて近づいてきた。

『ふん...妙な気迫を感じたが...気のせいだったようだな。』

 ファンスルの顔は、複眼の少し怖い感じの顔だった。

「なんで...リアンを...?」

 取り敢えずその事だけは、知りたかった。しかし男の返答は簡潔なものだった。

『教える必要はない。...避けろよ?殺したくはない。』

 そう言うと、ダガーのようなものを腰から取り出してそれを、鋼鉄丸のコクピットのある部分に思いっきり突き刺した。

 ソハンは何を言われたのかを瞬時に理解できなかった。その為、そのダガーの攻撃はソハンにも被害を与えた。

 声にならない悲鳴が回線を通じてファンスル側にも届く。

『...自分のした事を恨め。元凶は貴様なのだ。譲りに譲って、殺しはしないとなっていたんだがな...』

 そう言いながら、振り向きもう一機のファンスルをじっと見つめる。

『お前も用済みだ。ここで死ね。』

 傭兵の男は言い返した。

「悪いが...死ぬ気はない。」

 そう言い放ち、右側の魔導砲を背中側に持ち上げた。

 すると、背中に固定されていたパーツが右腕を包み込むように移動して、細身の腕を覆った。

 そのパーツごと前側に腕を持って行くと、魔導砲の拡張パーツ...魔力を容量ギリギリまで押し込んだカートリッジ五つとそれを撃つ為の砲身...が、魔導砲に固定された。

「悪いな...そっちが死んでくれ!」

 そこから放たれたのは、魔導砲の域を超えた弾。

『なるほど...やたらと大きくなっていたのはコレのせいか...』

 回避行動もせずにファンスルは、大空に飛び立ち、そのまま逃げていった。

『...すぐに再び会えるだろう...楽しみだな...』

「チッ...逃げんのかよ...ん?そういや...」

 傭兵はハッとすると、鋼鉄丸の方に機体を走らせた。

「おい!大丈夫か!」

 機体から飛び降り、ダガーの攻撃で穴の空いた部分から中を覗き込む。

「ひでぇな...ぐちゃぐちゃじゃねぇか。」

 そう言いつつ、ソハンの姿を探す傭兵。

「いた。おい!...おいおい...あの野郎...」

 ソハンは気を失い倒れていた。その体を持ち上げた自らの手を見て傭兵は青ざめた。

 血だ。かすり傷とか言うレベルではない。

 慌てて出血部位を探す。

 部位はすぐに見つかった。いや、探す必要もないくらいにはっきりしていた。


 ...ソハンは、右肘から先を失っていた。

もう今年も終わりですね!

来年はこちらの事情で、途中で休載し始めるかもしれません。どうか御理解をお願いします。

それでは、良いお年をお迎えください。

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