試練〜ヒューマの場合〜
ヒューマです。
ヒューマは、リアンとは少し違う空間にいた。そこは、どこを見ても星空が広がる空間だった。星は少しずつ動いている。
「綺麗なとこ...」
周りの景色を眺めていると、突如あの女の声が聞こえてきた。
『ありがとねー。いやぁ頑張ってよかったわー』
「うわっ!あなたがこれを作ったの?」
『この空間は私が作ったの。......他のところも始めているわね。遅れを取るのもあれだし、始めようか。』
すると、何もない場所にリアンのアイテム同様腕輪型の物が出現した。
『じゃーん!透過するアイテム〜』
ヒューマの選んだ『物を透過するアイテム』は腕輪型だ。腕輪の周りに水晶の破片のようなものが取り付けてある。
『これをつけて。』
ヒューマのいるところまで、腕輪がふわっとやってきた。
「つけたよ。」
つけると同時に、星空の空間が消え、無機質な壁が広がる空間に変わった。
『さぁアイテムを使って、どんどんすり抜けて行きなさい!』
ロクな説明もなしにヒューマは、試練を始めさせられた。
「え?どうすればいいの?これ...」
ヒューマは戸惑っていた。
「ちょっと!どうしたらいいの⁈」
問い掛けるが、あの声は聞こえてこない。
「えーと...取り敢えず...」
近くの壁まで行き、片方の手を壁に付ける。
「すり抜けられない...何かスイッチが...」
腕輪をあちこち触ってみるが、スイッチらしきものは無い。
「うーん...あの壁をすり抜けたい...すり抜けたい...」
ブツブツ言いながら、壁に向かって歩いて行く。
ヒューマは、壁にぶつかったと思った。しかし...
「あれ?おお‼︎すり抜けれた!」
見事に壁の反対側に、到着した。
「んーこれを繰り返していけばいいのかな?ていうか...どこにいけばいいの!」
思いっきり叫んだ。するとあの声が聞こえてきた。
『全く...あの男の子...疲れた...あら...すり抜けられたのね。』
「ソハンがどうかしたの?あーいいや。どこにいけばいいのか教えて!」
『行き先?無いわよ?』
「えっ...ちょ...どこを目指せばいいのか分からないんだけど?」
『それを探しながらすり抜ける練習ってのをして欲しいんだけど...』
「最初に言ってよね!それ!」
『あれぇ...言ってなかった?ごめんね〜』
女の声はそのセリフを最後に再び消えていった。
「よしっ。最初にいた部屋目指して頑張ろっと。」
それから、三十分後。
「むぅ...着かないなぁ...」
ヒューマは彷徨っていた。あれからブツブツ言いながら壁をすり抜け続けた。
「あーもー...ってあれ?ここって...」
そこは、見覚えのある通路だった。
「鋼鉄丸とか止めたところの近く...かな?だったら、あと少しかな?」
それから、さらに三十分後。
「...どこ...ここ...」
さっきまでいた通路をまっすぐに行っていたのに、図書室のような場所にヒューマはいた。
「こっちの壁に...」
すり抜けてみると、さっきの通路に出た。さらに目の前の壁をすり抜けてみる。
「また部屋だ。...もしかして...」
入ってきた壁に角度をずらして入ってみる。
「さっきの通路だ。」
再び壁に入る。そして、角度をずらして入る。
「不思議な場所だなぁ。」
その後も、ヒューマはテンポよく壁を通り抜けて行った。
気付けばヒューマは、ブツブツ言わなくても自然に通り抜けれるようになっていた。
「それ...ください!」
『いいよー。』
女が承諾すると同時に、リアンの前にカプセル状薬がポンっと現れた。
『それ飲めば作り方がわかるようになるから。』
「ありがとう!」
それを受け取り、何となく壁を見たリアン。
「着いたぁっ!」
壁からヒューマが出てきた。
「うわぁぁっ!」
リアンがビックリしてワタワタする。
「リアン?あ、先に終わってたんだ。」
「うん。お疲れ〜」
『あら、案外早かったわね。まだかかるかと。』
ヒューマは疲れがどっと出たのかその場にしゃがみ込んだ。すると、リアンが何かを思い出したようで...
「あ、そーだ!ヒューマにもあのカプセルあげてよ!」
リアンがさっき貰ったカプセルをヒューマにもあげて欲しいと頼む。
『あーいいわよ。劣化版だけどね〜』
「え?何貰えるの?」
何も知らないヒューマが、聞いてくる。
『劣化版...まぁあなたのそのアイテムだと...簡易版...かしら?その設計図みたいなものよ。欲しかったらあげるけど?』
「あーじゃあ貰っとこうかな...便利だし...」
ヒューマはこれがあれば色々できると考えていた。
『まぁそうね。』
カプセルがヒューマの前に現れた。ヒューマがそれを受け取る。
そこで、再びリアンが何か大事なことを思い出した。
「そういえば...ソハンは?」
まだ、ソハンが出てきていなかった。
来週は、諸事情で投稿できません。なので10/6、10/7のどちらかに投稿したいと思います。




