試練〜リアンの場合〜
リアンです。ちょっと短めです。
リアンは今、扉の前に立っている。扉の横には、机が一つ置いてありその上にメモ書きとリアンの選択したアイテムが置いてあった。
そのアイテムは、『任意の場所にテレポートする』という機能を持つものだった。腕輪のようなものに青色の鉱石が埋め込んである。よくよく見ると、鉱石の中には魔法陣のようなものが多数不規則に漂っていた。
あちこち眺めていると、扉が光り出した。そして、最初に聞こえてきた女の声が聞こえてきた。
『ようこそ!』
「わっ!びっくりしたー...」
『...驚かなくてもいいのに...』
声のトーンが少しだけ落ちた。
『とっとと始めようか。そこの机の腕輪、それを使いこなせるようになってもらわないと困るから。今から、さっきまで居た空間までそれを使って帰ってもらうわ。頑張ってね。』
「え...やり方とかは...?」
『簡単よ!行きたいところを考えながら、鉱石を押せばいいのよ!さぁ行きなさい!』
ブツッと雑にスイッチを切ったかのような音が聞こえ、声が聞こえなくなった。
「とりあえず...」
腕輪を手に取り、左腕につける。腕のサイズと合っていなかったが、つけた瞬間にリアンに腕のサイズと同じになった。
「おぉ...便利だ...行きたいところを思えばいいんだよね...」
リアンは最初にいたところを思い出す。すると、鉱石が輝き目の前にグニャグニャしている円形状の穴が出現した。
「これに入ればいいのかな...」
ひょいと入る。その先は...
「あれ...ここどこだ?あ...」
リアンの辿り着いた場所は、さっきまで居た部屋ではなく、ソハン達が爆撃を受けたウェイク遺跡の入口だった。
「なんでここに...もう一度!」
今度は、このアイテムを見た場所を思い浮かべる。再び鉱石が輝き、円形状の入り口が開く。その先は...
「今度は...あ。あの部屋の入り口だ。」
少し離れた場所についた。
「じゃあ...ここを開けて...開かない...」
扉はガッチガチに固まって動きもしなかった。
「やっぱり、コレで越えるしか無いのか...」
再び同じ動作。しかし、今度は少し違った。鉱石が輝いたかと思うと、鉱石の中にあった魔法陣が一直線に並び、鉱石の外側にまで魔法陣が出現したのだ。
「おぉ...」
開いた円形状の入り口も、グニャグニャしていたのが、きちんとした円になっていた。そして、そこに入る。
出た先は、アイテムが置いてある部屋だった。
腕についたアイテムを見ると、魔法陣は再びバラバラになっていたが、不規則に漂っているのではなく、ずっと同じ場所に居続けている。
『あら...成功したみたいね。それの条件。』
女の声が聞こえてきた。
「条件?」
『そ。ここウェイク遺跡の全ての扉を、それを使って越えるって条件。あの扉には細工がしてあるのよ。試練用の細工が。』
「すごいんだね。昔の技術。...そういえば、ソハンとヒューマは?」
『あぁ...あの二人?今試練中。そして苦戦している。』
「大丈夫かなぁ...」
『死んだりしないから大丈夫よ。あ、そうだ!そのアイテムのレシピ居る?』
唐突にとんでも無いことを言ってきた。
「え?これ...作れるの?」
これを作れるのなら量産したいくらいだ。
『劣化版だけどね。回数制限と距離制限付き。』
回数は最高でも四回まで。距離は少しのズレがある程度らしい。劣化版でも十分だとばかりに、リアンは大声で言った。
「それ...ください!」
リアンの試練は、設定上かなり簡単な設定にしてあります。では、また来週〜




