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俺はお前で、お前も俺で。  作者: むむ
第1章 〜混ぜるな危険? いいえ、混ぜたら奇険です〜
5/22

それにしても急ピッチ感が否めないけど。これで良いというのなら止めはしないけどね。

 

 わからないことだらけの状態に、さらにわからないことが追加された。

 入れ替わりになんとなく対処できていた俺だったが、ここにきてパニックにつぐパニック。

 緊急地震速報が鳴った直後に、ミサイル発射の誤報が鳴らされたような。

 学校の七不思議だと思っていたら、十一不思議ぐらいあったような。

 つまりは、情報処理が全く追いついていない状態だっつーのこんちくしょう。




 そして今俺は、目的地の病室の中に入り、椅子に座っている。

 正確には、今日初めて会ったであろう男と対面で座っている。


 しばらくの沈黙が続いた後、やがて男が口を開いた。


「さっきからずっと黙っちゃって、なんか調子が狂うわねぇ。

 ねぇ、私のことわからない?

 私よ、私、権田晶よ。そりゃ外見はこんなんだけど、かおりんだって同じ境遇なんだから、もう察しはついてるんでしょ?

 それとも何? 記憶障害がまだ残ってるのかしら」


 やめてくれ。これ以上、余計な情報を送りつけないでくれ。

 記憶にもクーリングオフがあるなら、今すぐにでも手を出している。

 訳のわからないことを全部一旦リセットして、もう第二の人生として、新しく生まれ変わりたい。



 ……とりあえず。

 今のやつの話でわかることはあった。

 一つは、そう。これは初めに俺が推測していたことだが、やっぱりこの男はあいつだ。



 権田晶(ゴンダ アキラ)。ーー俺の幼馴染。



 自分で名前を名乗って、話してもいない俺の名前を言い当てたのだ。

 これはもう、間違いではないだろう。

 そもそも、かおりん、なんて呼ぶのは小さい時からあいつぐらいだ。


 新しくわかったのは、良い。

 問題が一つ解決したということも、尚良い。


 悩みの種は、更に疑問が二つ追加されたってこと。


 確かに、俺とアキラは入れ替わっていた。

 あいつの言い分からもそれはわかる。

 じゃああの外見、というか、あの男は誰なんだ、と。


 少なくとも俺ではない。

 だってそうだろ?

 頭は坊主で剃り込み入ってて、なんかやたら顔の堀は深いし、ガタイも良いし、なんつーか心なしか身長も190ぐらいあるよね、あれ。

 ピアスとか付けてるし、俺今までに一度だって開けたことないよ?怖いし。


 ……いや、誰だよ、ホントにっ!

 今まで二十五年間生きてきて、こんな奇抜なフォルムになった時期一度もねーよ!

 あれか、こいつは俺がグレるかもしれなかった未来の、ifの俺なのか?

 パラレルワールドの俺なのか?!

 完全に歌と踊りを披露するグループの人じゃん!

 なんだ!?俺ザイルか?!お前は俺ザイルなのかっ!?

 混乱するなってのが無理な話だよちくしょーめ!


 それに、もう一つ!

 口調なんだよお前!

 そんな口調じゃないじゃん!

 ふえぇぇぇ、とかを地で言う子だったじゃん!

 語尾に常に、だよー。とか、かなー?とか、伸ばす棒が付くタイプの話し方だったじゃん!

 いかにもな女性言葉になってるし……あー、いや、それならそれで、別に構わない、問題もないとしよう。

 むしろ今までのゆるふわな喋り方より断然マシじゃあないか、と俺は思うぐらいだ。

 うん、百歩譲ってそれは良しとしよう。

 ねっとり低音ボイスでその喋り方なのも、まぁ声帯によるものだと割り切ろう。


 ただね、ただですよ?その喋りに合わせた仕草はなんなのかと。

 今すぐ、そのポーズをやめろ。

 その、俗に言うオネェポーズをやめろ。

 詳しく言えば、腕を組んだ状態から片手だけ頰に手を当ててるそのポーズを今すぐやめろ!

 意図的か?意図的なのか?!だとしたらこれはもう、そうゆう判断になりますが!?



 恐らく、これ以上自問自答を続けても埒が明かないと悟ったので、覚悟を決めて、俺はアキラに一切合切を聞くことにした。



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