表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
立春から  作者: 若松ユウ
3/7

#002「雄々しさ、女々しさ」

@橘家

サクラ「うわ、メデューサだ」

モミジ、ドライヤーを止める。

モミジ「フハハハハ。貴様を石像にしてやろうか」

サクラ「蝋人形ではなくて?」

モミジ「そんなヘビーでメタルな相撲好きではないわ」

サクラ「それなら、伺います。失礼ですが、おいくつですか?」

サクラ、整髪スプレーをマイクに見立て、モミジに向ける。

モミジ「十万とんで二十三歳」

  *

@源家

タイラ「下手したら、クラスの女子より女子力が高いかもしれないって言ってたからな」

サクラ「そんなことないよ。妹さんは、買いかぶりすぎだよ」

タイラ「女が、他人のどこを見て女らしさを感じるかは、男には分からないものだぞ?」

サクラ「男性が、他人のどこを見て男性らしいと感じるか、女性には分からないのと一緒にして考えてない? あくまで、どちらも想像でしか判断できないんだよ、タイラくん」

タイラ「そりゃあ、本質というか、実感というか、その辺の深いところは理解できないけどさ。何となく、これはこうなんじゃないかって考えられれば、それで良いじゃないか」

サクラ「表面的だね」

タイラ「上っ面さえ理解するのを放棄するより、何倍も良いだろう?」

サクラ「そうかな? わかった気になって、誤解を本当だと思い込むことになっても、それで良いといえる?」

タイラ「何が本当か、教科書みたいに正解があると思ってるのか? そうだとしたら、それは間違ってると思うぜ。俺は、その人が理解したことが、その人なりの正解なんだと思ってる」

サクラ「その、個人の確からしい理解の集積の中に」

タイラ、片手でサクラの発言を制する。

タイラ「それ以上は言うな。そろそろ俺の理解の範囲を超える」

サクラ「それなら、まとめるね。女性心理が本質的な実感として理解できない以上、タイラくんが妹さんの気持ちを理解することも、僕がお姉ちゃんの気持ちを理解することもできない。ここまでは良い?」

タイラ「あぁ。だが、それ以上は」

サクラ「オーケー。ここまでにしておくよ。ここから議論が盛り上がるところだけど、しょうがない」

タイラ「それにしても、何でこんな話になったんだったかな。たしか、今日は天気が悪いって話をしていて」

サクラ「お姉ちゃんは、湿気が多いと髪に変な癖が出てくるという話になって」

タイラ「与謝野晶子風の無造作ヘアーだったな」

サクラ「作者ではなくて、作品名だけどね。――それで、カラーとかパーマとか洗髪とかのサービスは無くて良いから、安く手早く髪を切りたいらしいんだって言ったら」

タイラ「それなら、俺の店で切れば良いって言ったんだったな。近所から角の床屋とか裏通りのパーマ屋とか呼ばれる店で、若い女性は滅多に来ないから喜ばれるだろうって」

サクラ「それで、妹さんと話が合うかどうかって話になって。――そうだ。妹さんも交えて中学のオサライをしようよ」

タイラ「明日からな」

サクラ「今日からではなくて?」

タイラ「今日は天気が禍々しいから駄目だ。何だか、地獄から悪魔を喚べそうな空模様じゃないか」

サクラ「フハハハハ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ