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立春から  作者: 若松ユウ
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#000「ゆとり、さとり、つくし」

@橘家

タイラ「転勤族で、集合住宅住まいで、両親が会社員で、大学生の姉ちゃんがいる」

サクラ「地元民で、一軒家住まいで、ご両親は自営業者で、中学生の妹さんがいる。長男で、同じ高校に通ってるという点を除いては、類似点が見つからないね」

タイラ「あじさい銀行に勤める、背広姿で香水と整髪料のダンディーなパパと、カットサロンひまわりに婿養子に来た、作業着姿でアルコールとヤニの男臭い父ちゃんとでは、生まれも育ちも違って当然だ」

サクラ「境遇が違うのは同意するよ。タイラくんのご両親は、学生結婚だっけ?」

タイラ「あぁ。十代で結婚と出産をした、バブル前夜生まれのアラフォーだ」

サクラ「プレッシャー世代か。ひと世代くらい離れてるね。僕の両親は、東京タワー完成前後に生まれた新人類世代だから。――明治天皇、東條英機、神武天皇、鞍馬天狗」

タイラ「急にどうした? 今度の試験に出るのか、それ?」

サクラ「今度の試験範囲ではないけれど、覚えて損は無いと思うよ。嵐寛寿郎。通称、アラカン」

タイラ「頭の中に余白があれば書き込んでおこう。――出会ったキッカケは、ちゃんとした見合いなんだろう? 俺の両親なんか、ナンパだぜ?」

サクラ「他人に積極的に声を掛けられるのは、良いことだと思うけどな」

タイラ「異性に限定されてなければ、の話だ。それにしても、いいよな橘は。一人の時間があってさ。いつも両親が家にいるし、おまけにナルミまで」

サクラ「僕の家だって、僕がまだ小さい時は、おばあちゃんかモミジ姉ちゃんがいたよ」

タイラ「でも、いまはこうして一人だ」

サクラ「タイラくんがいるよ?」

タイラ「俺は、この家の人間じゃないだろうが。浮き足を取るな」

サクラ「それを言うなら揚げ足だよ、タイラくん」

タイラ「そうそう、そうやって揚げ足を取る」

サクラ、項垂れる。

タイラ「あぁ、悪い。言い過ぎた。俺の悪い癖だ」

サクラ「うぅん。タイラくんは悪くないよ。正論ばかりで人付き合いが上手くないのは事実だもの」

タイラ「正義感があって良いと思うけどな。少なくとも、顔は広いが本音が言えない八方美人より、よっぽど」

サクラ「そうかな?」

タイラ「そういうことにしておけよ。オッと。そろそろ仕事の時間だ」

サクラ「家に戻るの?」

タイラ「違う違う。家の手伝いではなくて、レストランの方」

サクラ「あぁ、そっちか。試験が終わったところなのに、忙しいね」

タイラ「その分、実入りが良いからな。賄いも出るし。――赤点でなければ良いんだけど」

サクラ「二回連続で、アルバイト強制停止だものね」

タイラ「そこらへんがシビアだよな。――橘こそ、画廊の手伝いは良いのか?」

サクラ「今は展示品の入れ替えで休館中だよ」

タイラ「フゥン、長閑なものだな。商売っ気が感じられないが、大丈夫なのか?」

サクラ「オーナーが道楽半分で営んでるだけだから、利益は二の次だよ。より多くの人に本物の美に触れて欲しいらしくてね。受付に居ても暇だから、読書が捗る」

タイラ「橘にピッタリだな。それじゃあ」

サクラ「また明日」


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