第3話
杏奈「これも定番ネタだが対応が速いな…;」
瑠璃「ま~流石アンにゃのじいちゃんだにゃ~♪」
杏奈「そうだな…;
とは言え、学園長がオレのじいちゃんなのはギャルゲ的テンプレからは外れてるんだよなぁ…。
まぁこれはギャルゲじゃないが…
学園長の孫の男子生徒が親友…敵ならともかく、親友ポジションだとギャルゲ的にはあんま面白くは無いよな~…
普通は学園長の孫って言ったら美少女で、メインorサブヒロインの1人か、
そうでないなら好き放題やってる悪役系お嬢様のどちらかだろ?
男なら嫌味な敵ポジションじゃね??」
ついに…ついに近付いて来てしまった…;
ナニが近付いて来たってアレだよ…
始業式が…!!
もう後数日で新3年生になる訳だが…
不 安 し か な い な !?;
はぁ…;
そうそう、前に瑠璃が言っていた様にオレ達の通う学園には学生寮があり、自宅が遠かったりとかする奴等が入寮している。
それと学年によって部屋の階が変わる『お引っ越し』なるイベントも存在する。
オレの場合は便宜上『黒崎悠希』が使っていた家具を貰う形で男子寮から女子寮へのお引っ越しだ。
オレの姿を見た一部の男子が張り切って運んでくれたからかなり楽だった。
こうゆうときは美少女って得だよな♪
…まぁ…誰も男のオレの事を気にしてなかったのはショックだったが。
寧ろ男のオレが急に両親と海外に行ったお陰で美少女と知り合いになれたとか言って喜んでたしな…。
因みにこの学園の寮は、男子寮と女子寮が併設してある………ってばっかじゃねーの!?;
まぁ夜になると真ん中の共用スペースにシェルター(通称:越えられない壁)が出現するんだけどさ…
ハ ッ キ リ 言 っ て 無 駄 な 金 使 っ て ね ?
オレのじいちゃんってか一族って皆バカじゃねーの!?;
普通に離してか別々の場所に建てろよ!!;
って入学当初じいちゃんに言ったら
『そしたらラブコメ的に面白くないだろッ!!#
貴様はそれでも黒崎の人間かッ!!#』
って逆に怒られた…;
まぁ、去年はオレが脱法ロリ(瑠璃)を彼女にしたり、勇悟が2年生にして男子寮の寮長になったし色々あって緑川さんと恋人同士になったけどさ。
それに、変態と笑わないひととか…青春と電波とか…とぅ、らぶるとか君にtdkとか色々細かく別のラブコメも発生してたしな。
今年辺り厨二病の魔術結社とか起ちそうだな。
去年の新入生に昼寝好きな女子生徒が居たし。
閑話休題。
まぁとにかく…お引っ越しが終わってオレは今、共用スペースに居る訳だが―――
「…。」(ジトーッ)
「…;」
何故か勇悟の妹に睨まれていた…;
名前は『赤坂 秋穂』、
今年から新2年生になる16歳。
黒髪の長髪に真ん丸な蒼い瞳、小さな鼻や桜色の小さな口…そんな可愛い系美少女だ。
おしとやかで気さくでいつも勇悟か美夏にベッタリなブラシスコン。
まぁ性格的にも結構ギャルゲによくいる『おしとやか系妹キャラ』だな。
…軽くヤンデレっぽいけど。
因みに、瑠璃に妙な親近感を抱いているのか、『師匠 (なんの?;)』と呼んで慕っている。
男のオレとは…まぁ…可もなく不可もなく…だったな。
まんま兄の親友で師匠の彼氏って認識だった。
いや…それどころか男であるが故にこいつに(兄の恋愛対象として)警戒されず、兄の周辺監視を任されていた。
まぁ面白そうだから協力してやってたが。
…もしかすると勇悟が緑川さんと結ばれたのってこいつとオレのお陰か?
因みに、緑川さんは元々例外らしい。
まぁこいつは緑川さんの事を『義姉ちゃん』と呼んで本物の姉の様に慕っているし。
閑話休題
それよか何でこいつはオレの事を睨んでくるんだ…?;
…隣には笑顔の美夏(熱が下がったら天然に戻った;)、正面には笑顔の勇悟、その隣に居るのがオレを睨む妹の秋穂ちゃん。
全くもって睨まれる理由が分からん…;
「あの…秋穂ちゃん…?;」
「何ですか蒼井先輩。」
「何でオレの事を睨んでるのかなー?;」
「…何ででしょうねー?」(ギロリ)
「…。」
うん…ここまで露骨だとオレ、ちょっとイラッと来るんだ☆
「…ねぇ秋穂ちゃーん。
ちょーっと二人だけでO☆HA☆NA☆SHIしようかぁー?」
「あぁ良いですねセンパーイ。」
「あらあら、さっそく仲良しさんなんですか?♪
やっぱりアンナならあきちゃんと仲良くなれると思ってましたよ♪」
「はっはっは~。
そぉだね美夏!」
因みに女になった今のオレは緑川さん、改め美夏の友達ポジションだ。(瑠璃とは変わらず恋人ポジション)
なので入寮前辺りから名前(しかも呼び捨てで良いらしい)で呼びあっている。
その事を考えると、秋穂ちゃんが何故オレを睨むのか…大方予想が出来た。
人気の無い廊下へ来たオレは、(男の時の)本性を現して秋穂に向き直った。
…とは言えこれは荒れていた時の『俺』の本性だけど。
「さてと。
テメェ…まずは人気が無くなってから出しているそのカッターナイフを仕舞え…
早くしねぇとその腕ごとへし折るぞ?」
「うわぁーそれが本性ですかー…。
や ば ん ですねぇー…。」
「だろうな。
だが恋人の瑠璃はオレのこの野蛮な本性を知っている。
それに、最初から嫌われてるテメェにもっと嫌われようと構わねぇさ。」
瑠璃だけは過去の俺の『勇悟とそれに群がる美少女共への憎悪』の本性を知っている。
瑠璃に関しては最初から本性で接していたからだ。
…だがこいつが反応したのは『恋人の瑠璃』の部分だった。
「…なぁんだ…彼女持ちのレズビアンさんだったんだ…♪
もしかしてあなた、師匠に開発されちゃった?♪」
「…は?;」
なっ…なんだコイツ…?;
急にキャラが変わったぞ…?;
「いやはや~有言実行とは流石師匠~!
しかも蒼井先輩ってば性格がまんま女版黒崎先輩じゃないですか~♪
師匠の好みはぶれませんね~っ!!」
「えっと…あの~秋穂ちゃん…?;」
「何ですか蒼井先輩っ♪」(にぱっ)
「…?;
(あっ、なるほど。)
大丈夫だよ秋穂ちゃん、
オレと美夏は只の友達だし(まぁオレと話してる時の美夏は妙に嬉しそうだけど)、
オレが好きなのは瑠璃だけだし(これは事実だ、異論は認めない)。
後赤坂さんは確かにイケメンだが、『男』だからこそ恋愛対象的には論外だな。(レズビアンだと思ってるならそうゆう事にしておこう…;
実際、オレは男にときめかないし。)
秋穂ちゃんは瑠璃の弟子なんだろ?
なら良かったらキミとも友達になりたいな(その方が都合がよさそうだし)。」(にっこり)
「はぅっ!?…姉弟子…お姉様…///」(小声)
「…は?;」
「あ、何でもないですよ!?
友達の件ならぜひっ!!」
オイ…コイツ今『姉弟子』とか『お姉様』とか言わなかったか…?;
コイツと友達になるのは早計だったかなぁ…?;
まぁ…根は良い奴なんだが…。
「…兄さんや義姉ちゃんに手を出す雌豚だったら消すつもりでしたけど~。
黒崎先輩みたいなら義姉ちゃんのボディーガードもお願い出来ますしね~。
後美人さんだから眼福眼福ぅ~♪」(小声)
…良い奴…だよな…??;
あれから、何故か腕に抱き付いてきた秋穂ちゃんを連れて共用スペースに戻ってきたオレは、再び美夏の隣に座った。
…勇悟が驚いた顔をしてるんだが…。
なんだ??
「杏奈…お前一体どんなマジックを使ったんだよ?;
秋穂が初対面の女の子になつくなんてさ…。」
「さぁな。
オレが瑠璃の恋人だからじゃないのか?」
因みに、春休み中に勇悟とも仲良くなったからお互いに名前で呼び合う様になった。
元々親友だったからな、直ぐに打ち解けた。
「そう言えば、その瑠璃さんはどうしました?
いつもアンナと一緒でしたよね?」
「ああ、瑠璃ならもうそろそろ―
「うわぁ~ん!アンナが浮気したぁぁ~!」
「Σえっ!?;
誤解だ瑠璃ぃぃぃっ!!」
いきなり現れた瑠璃はオレの状態を見て泣きながら踵を返したかと思ったら…
ニヤニヤと何時もの怪しい笑顔で戻ってきた…;
「…な~んちゃって~♪
りょ~てに花でうらやまし~にゃ~?♪」(ニヤニヤ)
「…;」
そう言いつつオレの膝に座る瑠璃。
うん、色々言いたい事はあるけど一言良いか?
「…ゴメン邪魔…;
美夏か秋穂ちゃん、悪いけど瑠璃に席を譲ってやってくれないか?;」
同じ身長(座高)で膝に座られると何も見えねぇ…;
秋穂ちゃんが勇悟の隣に移ると、瑠璃は少し不満そうにオレの隣へ移動した。
…何かオレが悪いことをしている様な気分になるな…;
そんな瑠璃の頭を撫でると猫みたいに頭を擦り寄せてきた。
「本当に師匠と蒼井先輩は仲が良いんですね~♪」(ニヤニヤ)
「まっ…まぁな…///」
「ん~ふ~ふ~♪
アンにゃはあたしの嫁だかんな~♪」
…まぁ…。
コイツらとなら『蒼井杏奈』としてでも楽しい学園生活になるよな…きっと…。
オレはヒロインの中の人!?
第3話『入寮』
終わり