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一篇目 物語のはじまりは
王都アクリーテ、その城下町にこじんまりとした広場があった。
いつもは憩いの場であり、人もまばらだった。しかし、今日はベンチが足りなくなるほど子どもたちが集まっていた。
視線の先には長い三つ編みを垂らした小柄な吟遊詩人。
「お姉ちゃん、今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」
待ちきれなかったのか一人がそう呟くと、堰を切ったようにざわめき出す。
「私、海のお話が聞きたい!!」
「いつもお前ばっかりずるいぞ、俺は騎士さまの話がいい!!」
「しーっ、静かにしてくれなきゃお話はしてあげないわよ」
口論する子どもたちをなだめ、彼女はこう言った。
「じゃあ今日はこの国…シェレスタ王国のお話を聞かせてあげる。長いから帰るなら今のうちよ?」
そして語り出す。はじまりと終わりの物語を。
はじめまして、雪ノ丞といいます。
まだまだ拙いですが、この物語を記さずにはいられなかったので筆を取ってしまいました。
中世ヨーロッパ風と銘打っておりますが、私の知識量ゆえ小難しい内容ではないと思われます。
最後に、読んでいただきありがとうございます。