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魔導機人アルミュナーレ  作者: 凜乃 初
副操縦士編
30/144

5

「エルド、入ります」

「アンジュ、遅くなりました」


 俺達が三十一隊に与えられた部屋に行くと、そこにはすでに他のメンバーが集まっていた。まあ、いくら急いでも、基地の中にいる人と町にいた俺達じゃどうやっても時間差はできるか。


「よし、全員そろったな」


 俺達が来たことで、第三十一アルミュナーレ隊の全員が揃い、ボドワン隊長がテーブルに広げた地図を示しながら状況を説明し始めた。


「現在、緩衝地帯を抜けた敵アルミュナーレの集団がサルサ、ソーレの両砦を襲撃していると情報が入った。敵の数は六機ずつの計十二機。俺達は機体の整備が済み次第サルサ砦へと向かい、味方部隊の救援を行う」


 十二機。大部隊じゃないか。

 その数に俺は驚きを隠せなかった。アルミュナーレの進軍はアカデミーで習った最大の数でも八機だった。今回の進軍はそれを遥かに超えた数字である。

 それはオレールさんをはじめとした、他の皆も同じようで、その数字に一概に驚愕を表していた。


「おいおい、十二機って諜報部隊は何やってたんじゃ」

「諜報部隊からは定期連絡で通常通り七機が前線にいると報告があった。おそらく敵に奪われているのだろうな」

「こちらは敵の諜報を見つけ切れておらんと言うのに、向こうにはずいぶん優秀なもんがおるみたいじゃな」


 オレールさんは、ため息を吐きながら肩を竦める。確かに、こちらに諜報部隊を潰されたことすら悟られずに、乗っ取るなど簡単にできることではない。街中に何人もいる諜報員たちを一斉に制圧しなければ、情報が漏れてしまうからだ。

 となると、今回の襲撃を含めて入念に準備されていた物なのだろう。


「ここでそれをどうこう言っても仕方のない事だ。今は、目の前の現実に対処しよう」

「そうじゃな。アルミュナーレの整備じゃが、後は組み立てだけじゃ。二十分で片付けちゃる」

「十五分で頼む。俺達の機体が動けるようになり次第、全機で出撃する」

「しかたないのう。リッツ、カリーネ、行くぞ」

「はいはい。装備はどうするんです? いつも通りで?」

「要望があるなら、魔法の再設定もするわよ?」


 隊長の基本装備は、腰の左右に剣を下げ、後ろにハーモニカピストレを装備している。魔法は炎系のファイアボールと威力を上げたファイアランス、物理的破壊力の高い土系のクレイランス、基礎のマジックシールドに対人用のショック・グラビネスである。


「魔法はそのままで構わない。武装にタワーシールドを追加しておいてくれ」

「なんじゃ、あんな重いもん持ってくのか?」

「砦に敵が篭る可能性もある。あそこは遮蔽物が少ないからな。盾があると何かと便利だ」

「分かった」


 アルミュナーレの装備を決め、オレールさんたち整備組が機体の下へと向かう。

 今度は俺達が指示を受ける番だ。


「ブノワ、エルド、二人は斥候部隊として他の部隊の者と協力し、戦場の把握を行ってもらう。第一車両庫に斥候組が集まる予定だ。そこに向かってくれ。詳しい説明はそこで行われるはずだ」

『了解!』


 要はいつもの斥候と同じだ。馬で機体より先行して進み、戦場の状況を把握、隊長に伝える。何も変わらない。いつも通りにやれば上手く行く。

 俺とブノワさんが部屋を飛び出そうとした時、その手をアンジュに掴まれた。


「アンジュ?」

「気を付けてね。死んじゃだめだから」

「分かってる。こんなしょっぱなで死ぬつもりはねぇよ」


 そう言ってアンジュの頭をポンとたたいてやると、アンジュが掴んでいた手を放した。

 改めて、俺は全速力で駆け出し、ブノワさんと共に車両庫へ向かう。

 車両庫とは言っているが、実質は馬屋だ。

 俺達が到着するころには、すでに他の隊員は集まっており、各々の馬を準備を進めている。

 俺達も、急いでブノワさんの馬を馬屋から連れ出し、鞍を付けて出発の準備を行った。

 そこに、士官がやってくる。


「全員、作業を続けながら聞いてくれ。俺はジャカータ情報担当官のピリッツだ。今回、お前たち斥候部隊の総指揮を執ることになった」


 情報担当官と言えば、斥候部隊の中から選ばれたエリートだ。ジャカータ周辺の情報や諜報部からの連絡を取りまとめ、必要な情報を司令官へと渡す重要な役どころである。

 今回は、彼自身が戦場へと出るらしい。


「俺達が向かうのは、サルサ砦方面。B-20方面へ、ワリス、ヒューレン、パラストの町を通って行くぞ。速度は最速、馬は途中の町で交換する」

『了解!』

「ポル、フィル。今日は無理させるけど、頑張ってね」


 ピリッツ士官の作戦を聞き、ブノワさんが二頭の体を撫でる。二頭は気にするなまかせろと言わんばかりに、ブルルと一鳴きした。


「各員、出発準備は整ったな! では出撃するぞ!」


 十三頭の馬が嘶き、ピリッツ士官を先頭に走り出す。俺は一列となった馬隊のやや後方につけ、ブノワさんと共に基地を飛び出すのだった。


 二十分ほど全力で走らせ、最初の町に到着する。そこにはすでに換えの馬たちが用意されており、いつでも出発できる状態になっていた。

 魔導車で先行し、それぞれの町にあらかじめ馬を用意させているようだ。こういう時に魔導車の速さは役に立つな。いつもは埃被ってるけど。


 ポルとフィルを町の馬飼いに任せ、借りた馬で再び走り出す。

 さらにもう一度町で馬を交換し、合計二時間以上走り続けたところで、最後の町が見えてきた。そして、遠くから見えたその光景に一同は言葉を失う。


「サルサがすでに陥落している!?」


 第三の町パラストは今まさに炎に呑まれているところだった。家々から黒煙が立ち上り、逃げ出した民がこちらに向けて走ってくる。

 町の中では二機のアルミュナーレが暴れており、腕を振るうたびに瓦礫が宙を舞う。

 一機は以前見た物と同型。緑色のベースに赤のラインが入った機体だ。しかしもう一機は明らかに別物である。

 全身を血で染めたように真っ赤な機体。その手にはこん棒を持ち、まるで鬼を連想させる機体だ。


「草原に出るぞ! 民に呑まれる!」


 即座にピリッツ士官が指示をだし、俺達は道を外れて草原を進む。その直後、手に持てるだけの財産を持って逃げてきた民たちが道を埋めつくした。


「信号弾赤二発放て! 第十八、二十二、二十五隊の隊員は散開。情報が正しければ後四機入り込んでいるはずだ。探し出して信号弾を上げろ! 三十、三十一の者は外れクジだ。俺と共にあいつらの気をこちらに引きつけるぞ」


 指示された通り、三隊の隊員たちが草原を左右に向けて走っていく。


「そ、そんなことできるんですか?」


 外れクジと言われた隊員の中で、まだ若さの残る一人が声を上げた。おそらく俺の一つか二つ上の先輩なのだろう。

 そしてその言葉には俺も同意見だ。アルミュナーレに対して、俺達人間の魔法は余りにも無力である。それに対して、相手の一挙手一投足が俺達にとっては必殺の一撃だ。

 それなのに、足止めなんて出来るのか?


「誰だって目の前に虫が飛んでいれば鬱陶しいものだ。カメラに向けて、魔法を放ちながら逃げ回る。あいつらをこれ以上進軍させるわけにはいかない」

『了解!』


 なるほど、虫でもできることはあるってことか。けどそういう虫って結構プチっと潰されますよね……マジで外れクジじゃねぇか。こんなところで死ぬつもりはないぞ。


「このまま町の中に入り、瓦礫を利用して補足されない様に逃げ回るぞ。各員の健闘を期待する!」


 指示を出し終えたピリッツ士官が馬の速度を上げる。他の人たちも同じように速度を上げ、町へと突っ込んで行った。

 俺もそれに続こうと、手綱を上げたところで、隣にブノワさんが寄って来た。


「エルド君、君はとにかく生き残ることを考えるんだ。敵の気を引こうなんて考えなくていい」

「命令無視しろってことですか」


 確かに俺の魔法は風系統の魔法がメインだし、相手の目つぶしを行うには力不足かも知れない。けど、だからって命令無視して逃げ回って良い理由にはならないだろ。


「君の本来の仕事は斥候じゃない。操縦士だ。斥候ならいくらでも増やせるけど、操縦士はそうじゃないでしょ。君に掛かる期待は、君が想像する以上に大きいんだよ」

「そんな。だからって!」


 斥候を、使い捨ての道具みたいな言い方は止めてくださいよ! 戦争だから人が死ぬのは当然かもしれないけど、だからって無駄に死んでいい人なんていないんですから。


「当然僕も死ぬつもりはないよ。じゃあ隊長が来るまでの辛抱だ。お互い頑張ろう」


 ブノワさんは俺の肩をポンと一度だけ叩いて、馬の速度を上げる。

 俺はその後ろにぴったりと付いて、瓦礫の山と化している町の中へと飛び込んで行った。



 町に入った直後、俺は乗っていた馬から飛び降りエアスラスターで物陰へと移動する。

 町の中は瓦礫が散乱し、馬を走らせられるような状態では無い。他の隊員たちも、それぞれに馬を放棄して町の中へと入り込んだのだろ。

 馬たちは、すぐにここが危険と判断したのか、町から逃げ出していった。


「さて、敵機は」


 物陰から様子を窺う。敵機二機のうち赤い方の機体にはすでにピリッツ士官が取りついて魔法を放っている。炎系の魔法は、機体にダメージを与えられずともカメラの視界を奪い、操縦士にも鬱陶しがられているようだ。

 他に三人ほど、同じように赤い機体をけん制しているようだが、魔法の射撃が上手くないのかカメラには当たっておらず、さほど意味をなしていない。

 ただ、そちらに四人集まっているのなら、俺は別の機体の注意を引いた方が良いだろう。

 ブノワさんには逃げ回る事だけを意識しろなんて言われたけど、やれることは全部やるつもりだ。そのために鍛えて来たんだからな。

 エアロスラスターで瓦礫の中を進み、緑色の機体へと近づいていく。

 緑色の機体は、外壁に設置してある大砲を破壊して回っていたようだ。すでに町の兵士達は殺され、大砲を使える物はいないが、念の為と言うやつだろう。


「とりあえず一発当ててみるか」


 目つぶしにはならないが、こちらの存在を気付かせなければ気は引けない。


「エアロブラスト!」


 放たれた風の衝撃波は、機体の頭部にぶつかって軽く揺らすと消滅する。

 そして即座にカメラがこちらを向いた。


「チッ、やっぱきかねぇか」


 可動部の多い頭部ならもしかしたらと思ったが、やはり人の魔法じゃ威力が足りなすぎる。とりあえず俺の存在は気づかせたし、一度視界から離れるか。

 エアロスラスターで窓の壊れた廃屋へと飛び込み、敵機の視界から外れて移動を開始する。直後、俺の後方から巨大な爆発音が響き、声が降り注いだ。


「まだ生き残りがいたのか。羽虫みたいな動きしやがって。さっきの奴みたいに潰してやるよ!」


 連続して爆発音が続き、敵機の周辺の建物が崩壊していく。

 魔法を放ち、剣を振って家を破壊していく姿は、まさしく破壊神である。まあ、やっていることはただの八つ当たりみたいだけどな。

 この操縦士はすでに町の兵士からの攻撃で大分イライラしているみたいだ。だから大砲をいちいち破壊していたのか。

 けどちょうどいい。軽い挑発に乗ってくれるなら、俺でもやりようはある。

 民家から飛び出して体をさらし、背後から機体に向けて魔法を放つ。当然機体の装甲によって弾かれるが、気にしない。

 さらに連続して魔法を放つと、鬱陶しそうに敵機が振り返った。


「うぜぇ! うぜぇ! うぜぇ!」


 振り下ろされる巨大な剣。けど今の俺には脅威に感じない。

 エアロスラスターで大きく跳び上がり、アクティブウィングを駆使して剣の横をすり抜ける。そうすれば、操縦席の目の前だ。さすがに対人魔法があるしこのまま取りつくつもりはないが――


「エアブロック、トリプル・セットアップ。スタート!」


 空中に空気の足場を作りだし、それをつかってさらに跳び上がる。

 俺の体は機体の高さを超え、敵機の頭部を飛び越えて背後へと飛び降りていく。

 相手は俺の動きに翻弄されたのか、頭部カメラで俺を追い、空を見上げたまま棒立ちだ。

 背後に回った俺には、可愛いお尻が丸見えですよ!

 ここぞとばかりに、俺は自分が使える中で最大威力の魔法を発動させた。


「ストームハンマー!」


 高密度の空気の塊をアルミュナーレの尻目掛けて発射する。

 ズドンッと、これまでとは明らかに違う手ごたえに、俺は落下しながら内心でガッツポーズを作る。

 尻を叩かれた機体は、僅かにバランスを崩し、一歩前に出た……まあ、そんなもんだよな。

 着地し、即座に近くにあった建物へと飛び込む。


「いい加減にしやがれよ!」


 振り返りざま振るった剣が、たまたま俺の逃げ込んだ建物の天所を破壊した。


「チッ、エアブラスト!」


 降り注いでくる瓦礫をエアブラストで吹き飛ばす。


「そこか!」


 瓦礫が天井から外へと飛び出したことで、俺の場所がバレた。とっさに飛び出すも、直前に魔法が建物を破壊し、その衝撃が俺の背中を襲う。

 カツンカツンッと小石程度の瓦礫が何とか背中にぶつかったが、大きな瓦礫が当たることは幸いにも免れたようだ。

 エアロスラスターで態勢を立て直し、再びどこかの建物に隠れようと周囲を見渡す。そこで俺は自分のミスに気付いた。

 隠れられる建物が無いのだ。

 機体を中心として注意を引きすぎたせいで、敵機が周辺の建物を全て壊してしまったのである。


「やばっ」

「見つけたぞ! 死ねェ!!」


 敵機が左腕を突きだし、その先に水球が浮かび上がる。見た目はただの水の塊かもしれないが、アルミュナーレの手の位置は地面から五メートルほど。腕を掲げれば、七メートル程度まで高くなる。そんな高さから、アルミュナーレの手が隠れるほどの大質量の水球が放たれればどうなるか。

 あ、死ぬかも……

 自分の脳裏にそんな考えが浮かんでしまった。とたんに、俺の体がまるで鉄になったかのように動かなくなる。

 動かなければ、逃げなければいけないと分かっているのに、体が言うことを聞かない。

 世界がスローモーションのように動きを遅くし、ふと頭にブノワさんの顔が浮かんだ。そして、隊長、オレールさん、リッツさん、カリーネさん、ミラージュさんが次々に浮かび上がる。それは入隊式の時の光景だ。

 次に浮かんだのが、バティスとレオンにレイラ。アカデミーで知り合った仲間たち。

 さらに過去へと進み、村の人たち、村長や親父、母さん。そして――


「死ねない!」


 放たれた水球が迫るなか、俺の世界は色を取戻し体に自由が戻った。

 とっさにエアロスラスターを発動させ横に飛び、同時にウィンドブラストで地面を叩き上空へと上がる。

 ズバンッと水球が当たったとは思えない音が俺の間近で響き、激しく水しぶきを浴びせられた。

 バランスなんて端から考えていない回避は、俺をそのまま地面へと叩きつける。


「やったか!」


 ゴロゴロと転がりながら、落ちている瓦礫に何度もぶつかり、節々が悲鳴を上げる。けど、痛いってことは生きてるってことだよな! この言葉は今使うべき言葉だよな!

 体の回転が止まったところで、痛むからだを無視して上体を起こす。

 全身がびしょ濡れになりながらも、俺は何とか生き残ったのだ。

 残念だったな。「やったか」フラグは敵側にも補正があるらしいぞ!


「生きてんだよ、バーカ!」


 俺が盛大に罵倒すると、集音を発動させていたのか相手が俺に気付いた。


「しぶといゴキブリだ!」

「イナゴが何言ってんだ! 人の土地食い荒らしやがって! とっとと巣に帰れ!」

「王国の腰抜け兵士が!」

「ハッ、その腰抜けにおちょくられてキレてるお前は腑抜けか!」

「今の今まで逃げ回ってた野郎が、大口叩いてんじゃねぇぞ!」


 そう言って敵機が再び俺に向けて腕を翳す。

 けど俺に焦りは無い。焦る必要も無い。逃げる必要も無い。


「死ねェ!」

「死ぬのはお前だ。俗物」


 その低い声が聞こえたかと思うと、建物の影から飛び出してきた一機のアルミュナーレが、敵機へと一気に駆け寄りその操縦席目掛けて剣を突き出した。

 完全な奇襲に対して、敵機は一歩も動くことができずにピンポイントで操縦席を貫かれる。

 機体から飛び出したアルミュナーレの切先には、血と帝国兵の物らしき服が付いている。

 それは剣を機体から引き抜く際に、ゆらゆらと落下した。


「エルド、無事か?」

「ええ、なんとか。隊長こそ、お早いお着きで」


 敵機を貫いた機体。その機体の操縦士は、我らが第三十一アルミュナーレ隊のボドワン隊長である。

 転がってる最中に、チラッと隊長機が見えたので、思いっきり煽ってこちらに注意を引き付けたのだが、それが見事にハマったな。

 制服はもうボロボロだが、適当に埃を払って立ち上がる。脇腹に痛みが走り、手を当ててみると石の破片で斬ったのか、服が破れ一筋の切れ込みが出来ていた。

 傷自体はそれほど深くなく、血も傷口からじんわりと滲んでいる程度だ。この程度で済んだのはマジで奇跡だな。


「他の機体は?」

「二機が赤い奴に向かっている。他は見つけたアルミュナーレを追いかけた。俺もすぐに赤い奴の討伐に向かうが、それよりエルド」

「はい、なんでしょう?」

「なぜまだこんなところにいる。当の昔に斥候の撤退命令は出されたはずだぞ」

「え?」

「まさか気付いていなかったのか?」


 どうやら、俺は撤退命令すら無視してひたすら敵機の注意を引き付けていたらしい。まあ、体を晒して攻撃を躱しながら注意を引くなんてめちゃくちゃな事やってたし、気付く余裕が無かったとも言えるが――

 そっと視線を機体から逸らす俺に、マイクを通してため息が聞こえてきた。


「まったく。エルド俺の後ろに乗れ」

「良いんですか?」

「今から退避していたら、戦闘に巻き込まれるぞ」

「すぐ乗ります!」


 さすがにそれは不味い。あの魔法の打ち合いに巻き込まれたら、何をするまでも無く死ぬ!

 エアロスラスターで操縦席の背後へと回り、隊長が開けてくれたハッチから中へと飛び込む。


「失礼します」

「後ろに捕まっていろ。時間が無い。そのまま赤い奴の討伐に向かう。向こうは少し苦戦しているようだ」


 操縦席の後ろからモニターを除けば、こちらの二機が赤い機体を挟むようにして立っている。しかし、一機は片腕を破壊され、もう一機も足にダメージがあるのか動きが悪い。


「分かりました。お願いします」


 俺を後方に乗せ、隊長の機体は魔法を発動させながら赤いアルミュナーレへと向けて走り出した。


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