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ハーピー

 今、俺たちはキャシーと出会ったあの洞窟付近まで来ている。

 少し話を聞いた結果ハーピーは丁度その洞窟付近で見掛けると言うことだったのでハングリー・ウルフの討伐依頼を受諾して、戦いながら向かっている最中だ。

 ハングリー・ウルフと言うのは満たされることのない飢えに支配された魔物で、餓死した狼に魔力が宿り生まれた魔物らしい。街に着くまでの道のりでホシコが苦戦することなく倒していた魔物なので然程大変な依頼ではないだろう。今回はあくまでハーピーのスカウトがメインだからな。


ジュゥゥ……


 「これで十匹っす。依頼は完了っすか?」

 「ああ、終りだな。みんなご苦労様」


 ホシコが十匹目のハングリー・ウルフを倒した。これで依頼条件はクリアだ。

 今回はホシコやスーラは勿論のことキャシーも、俺に攻撃を仕掛けてきた魔物をひっかきや噛み付きで迎え撃ってくれた。かなり猟奇的な光景だったがな。けど俺を守ろうとしてくれたのだから順調に好感度は上昇していってるみたいだ。

 街を出てから俺と離れて歩かせることにも挑戦したが見事に成功したしな。だいぶ意思疎通もスムーズに幅広く出来るようになってきたみたいだ。少しすると我慢が出来ずにむしゃぶりついてくるけど。


 フレッシュ・ゾンビはゾンビ種ではあるものの多少だが知能は持ち合わせているので、そのうち俺のことをきちんと仲間だと認識してくれるようになるかもしれない。現状は俺という存在に馴染んではいるけど仲間という認識を持っているのかは微妙な線だと思う。好感度メーターがあったら六割ぐらいの位置だろうか。


 さて、未だハーピーとは遭遇していないがどうするか。どう仲間に引き込むかな。


 そもそもハーピーは悪い魔物ではないのだ。結局色んな被害を出しているので、それが悪だと言われるとそこまでなのだがハーピー自体に悪意がないことを知っている身からすれば敵視されて残虐で凶悪な存在だと思われていることに同情できないこともない。

 ハーピーは顔と胴体が人間の女性であり腕と下半身が鳥という姿の魔物。何故人を襲うのかと言うと、知能が低く幼稚で無邪気、つまり人間でいう子供のような性質を持っているため遊ぼうと思って人間や動物に近づくのだが魔物であるがゆえに強い力を持っていて気付かぬうちに殺してしまっているというケースが多いとネトゲ時代に調べて知っている。さらに本人たちは力が強いことも相手が死んだ原因も敵視されている訳も理解できていないのがまた厄介なところだな。学ぶことが出来れば人とも良い関係を築けると思うのだが……。


 と、言うことを踏まえた上で考えてみると……方針はこれで決まりだな。


 ハーピーたちが欲してやまない、存分に気が済むまで一緒に楽しめる“遊び相手”になってあげれば良いんだ。

 俺ならハーピーを傷付けることも傷付けられることもなく純粋に遊べるだろう。しかしホシコたちが巻き込まれる可能性があるから、まずは避難しておいてもらう必要があるな。


 「ホシコ、スーラとキャシーを連れて洞窟の部屋で待っててくれるか?」

 「良いっすけど、キャシーはマスターから離れて大丈夫っすか?」

 「そうだな、長時間離れるのはまだ無理か……」


 とは言え一緒にいるとハーピーたちとのじゃれ合いに巻き込まれて危険だしな。

 何かキャシーが不満を抱かず俺から離れていられる策はないか……。







 オッケーだ。キャシーも納得してくれたようだし、これで少しは持つだろう。


 「じゃ、じゃあ洞窟で待ってるっすね。スーラ、キャシー、行くっすよ」

プルンッ

ムシャムシャ


 キャシーには俺のパンツを贈呈した。俺の味がたっぷり染み込んだその物にキャシーも夢中のようだ。ただ余り時間を掛けすぎると飽きるだろうし早くハーピーたちを見つけないとな。


 と、辺りを見渡していると空に三つの影があった。

 早速見つけられたようだ。


 「キャハハッ」

 「アソボアソボ」

 「ニンゲンニンゲン」


 甲高い声をあげながら茶色の羽毛と髪をしたハーピー三体が上空から俺目掛けて降りてきた。顔は幼稚な印象とは違って以外にも綺麗なお姉さんタイプで瞳は金色、胴体は胸も大きくナイスバディをさらけ出している。三体とも似ているが髪型だけ外側に広がるように癖のついたのと内側にまとまるように癖のついたのと規則性がなく全体的にボサボサになっているのとでそれぞれ違う。髪の長さは腰ぐらいまでで同じだ。

 翼を広げているせいか大きくみえるな、若干怖い。


 「アッチアッチ」

 「うわっ!!」


 ハーピーたちが鳥のようになっている足で俺の腕や足を掴んで雑に運び出した。どこかへ連れて行くようだ。

 ダメージはなくて一安心だが、これも恐らく力加減とかなく掴んでるんだろうな。運び方も荒いし、この段階で死ぬ人いると思う。


バサッバサッ


 か、かなり高いな。落ちても死なないとは思うけど単純に浮遊感が怖い。初、お空の散歩だ。

 頼むから落とさないでくれよ……。


バサッバサッ


 お、ここに降りるみたいだな。


 崖の上に大きな鳥の巣みたいなのがあって、そこに降ろされた。

 巣の中にはガラクタのような物体が色々転がっていて汚い……げっ!! 白骨死体もあるよっ!! 南無南無。


 「アソボッアソボッ」

 「そ、そうだな。遊ぼう」

 「ヤッタヤッタ」


 さて、何して遊ぶのかな。おままごと? かくれんぼ? 鬼ごっこ?



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