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洞窟

 発見した洞窟に入ってみると中は複雑に入り組んでいてまるで迷宮のようだった。危険な匂いがするがホシコも俺も気になると言うことで少しだけ進んでみることになった。俺はめったなことじゃ死なないだろうしヤバそうなときはホシコやスライムの盾になれば良い。


 奥へ進んでいくと骸骨に魔力が宿り動き出した魔物スケルトンや、人の死体に魔力が宿り疑似生命の与えられた魔物ゾンビなどと遭遇した。今までの敵に比べて多少強かったが俺とホシコなら問題ないレベルだ。


 「また、ゾンビっす」

 「俺は左のを片付ける、ホシコは右のを頼む」

 「了解っす」


 正面から、生者の肉を求めて襲いくるゾンビが二体。考えなしに突っ込んでくる。

 意外と素早いが単調な動きなので見極めて避けつつ攻撃を加える。


ザシュッ

ジュウゥゥ……


 俺は剣で首を斬り飛ばし、ホシコは光線銃で眉間を撃ち抜いた。ゾンビの弱点は頭だ。


パンッ


 音がしたので後ろを振り向くとスケルトンがのけぞっていた。どうやらスライムが察知して突撃をかましてくれたらしい。ナイス、スライム。

 まだ倒れていないので俺がもう一撃与えて仕留めた。


 中々コンビネーション良いんじゃないか? スライムもパーティー組んでるからレベルも3に上がってるし、自分の可能な範囲でサポートしてくれる。俺もだいぶ戦いに慣れてきたし種族が魔人ってこともあって攻撃力も並み以上はある。ホシコも相変わらず強い。

 このまま洞窟を攻略しても良いかもな。宝とかボスとか、何かあるかもしれない。


 「もっと奥に行ってみるか?」

 「そうっすね。この三人なら問題なさそうっす」

 「スライムも良いか?」


プルンッ


 「満場一致のようだな。じゃあ行ってみよう」

 「ワクワクするっす」


 どんどん奥へ進んで行く。

魔物も危なげなく倒してレベルも俺が6、ホシコも同じく6、スライムは4まで上がった。結構戦っているが経験値はパーティーメンバーに均等に分配されるのでレベルアップのペースは遅めだ。


 しかし、だいぶ深くまで来てしまった。これ以上は帰りが面倒になりそうだし、そろそろ潮時かもしれない。


 洞窟探索の打ち切りを考え始めたところ、一つ扉があることに気付いた。


 「ホシコ、あそこに扉がある。いかにも何かありそうだぞ」

 「ほんとっすね。行ってみましょうっす」


 壁にはめ込まれた木製の扉。人ひとりがギリ通れるぐらいの大きさだ。

 隙間から明かりが漏れているが、先がどうなっているのか見えないので慎重に、ゆっくりと開いていく。


ギィィ……


 「おお、すごいな」


 扉の先には一部屋の居住空間らしきものが広がっていた。

 ベッドやテーブルやイス、食料品など人の生活していた痕跡が残っている。というか今も住んでいて丁度出かけている可能性のほうが高いな。食料品も新鮮っぽいし整理もされている。


 「部屋っすね。どうするっすか?」

 「そうだな。住人の帰りを待ってみるか? こんな場所で生活しているって何か気になるし」

 「良いっすね。賛成っす」





 ちょっとした好奇心で待つことにしたのだが何時間待っても訪れる気配はない。今日は帰って来ないのか?


 待つのにも飽きてきて、悪いと思いながらも収納棚にしまわれている書物が気になりだして読んでみた。

どうやら魔術関連の本みたいだ。魔術はレベルアップで勝手に覚えたりしないので何らかの方法で習得する必要がある。本で学ぶのも一つの手段だ。


 「うーん、なになに? 魔物の使役方法……魔術による強制……」


 魔術で無理やり魔物を支配下に置く、みたいな方法が記述されていた。あまり俺好みではないかな。どちらかと言えば懐かれたり仲良くなったりして楽しい関係性が好ましい。

 ここに住んでいる人は魔物を使役しているのだろうか。


 「この本は難しいっすね。ホシコには理解できそうにないっす」


 ホシコもベッドに寝転がりながら本を読んでいたが、あまりお気に召さなかったようだ。

 スライムは俺の膝の上に収まっている。


 他の本も読もうかな――



ギィィ……



 扉が開く音!?


 「ガァアッ!!」

 「マスター!! 危ないっす!!」


 後ろを振り向くと様子がおかしな人間が俺に襲いかかってきた。ホシコは素早く光線銃に手を伸ばすが……。


 「ストップ!! 大丈夫だから攻撃するな」


 襲ってきた人間は美しい女性だ。しかし、様子がおかしく俺の首に噛み付いてきている。肌は青白く瞳も白みを帯びて虚ろなところはゾンビのようだが、外傷もなく身体に欠損もない。


 これは恐らく『フレッシュ・ゾンビ』と呼ばれている魔物だ。ネトゲ時代にも数回だけ遭遇したことがある。

魔力の濃い場所で身体が綺麗なまま死んだ者の死体が腐る前にゾンビへと変貌することで誕生するのがフレッシュ・ゾンビ。ゾンビの希少種だ。

 普通のゾンビはゾンビへと変わったときの状態を魔力によって維持するので、欠損や傷があったり腐っていたり、中身が出ていたりと中々にグロテスクな姿なのだが、対してフレッシュ・ゾンビは身体は綺麗なままで死後すぐに魔力が宿りゾンビ化するので見た目的には酷くないのだ。

 さらに、ほんの少しだが知能もある。

 ……仲間に加えたい。


 「平気っすか?」

 「ああ、俺の忍耐力は筋金入りだからな。こんな攻撃じゃ揺らがない」

 「無敵っすね、マスター」


 と、言うことで……。


 お次は、このゾンビ娘をゲットするぜっ!!




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