第二章 一節 城へ行く前の前準備
道場を出てから、三日。
クリークトの首都、セルバまでやってきた。
お昼をちょっと過ぎたぐらいの時刻で、お昼を食べてなかったため、よくお世話になっている食堂兼宿屋に入り、ご飯を食べている最中の私たち二人。
「ごちそうさま」
と、頼んだものを食べ終わり、手を合わせて言う。
アレンの方のお皿はまだまだ沢山の料理がのってある。
こっちを見やり、
「たったそれだけで足りるの?」
と、前のお皿をさして、聞いてくる。
「足りてないわよ」
今日はパン一つと野菜サラダだけだから、正直なところ満腹ではない。
それどころか、まだ腹五分というところ。普段から、七分ぐらいになるしか食べていないとはいえ、もう少し食べたいところである。
「だったら、もっと食べないの?」
「着替えないといけないからね」
と、言って席を立つ。
店のおばちゃんの所にいって話しかける。
「お店の奥借りていい?」
「ああ、また王城にかい? たいへんだね。
いいよ、つかいな」
鍵を渡してくれた。
「それじゃ、お借りします」
お店の奥の部屋に入って、バックに入れてあった、式服を出して、着替える。
式服だから、式典に出席するときに着る服なんだけど、人によっては、または、任される役割よって、規定された型に合わないときがある。
だから、ずいぶんと違うタイプがいくつも存在する。
私のもその一つ。
14才と小さい時にいただいたものだから、何べんも作り直すの大変だし、道場の出身だからということで動きやすいのがよかろうと、作務衣にも似たデザイン。
しかし、ぱっと見て、そうと分かるかといえばそれは違う。
式服らしく、派手でもなく整っている。
そもそも、ズボンの上に一枚布を巻くから、雰囲気がものすごくやわらかくなる。
上着の左肩にはクリートクの紋章である、赤龍が描かれている。
それに、右手にグローブをはめる。これにも赤龍が描かれている。
着替えを終わり、食堂のほうに戻る。
アレンのほうの机を見ると、食べ終わっている。
おばちゃんのほうにいき、お勘定を支払い、借りた部屋の鍵を「ありがとうございます」と返す。
店を向かうは王城。