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知らぬはヒロインだけ  作者: ネコフク


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二話 転生者クエスフィール

 何か言っている令嬢を背に歩くシスティアとクエスフィール。そのままバラが咲き乱れる花壇と噴水を通り抜け、穴場となっている庭の隅にあるベンチに並んで腰を下ろす。


「さっきのはフィーが言っていた「イベント」というものですよね⁉」


 キョロキョロと辺りを見回し、誰も居ないのを確認して興奮気味にクエスフィールに詰め寄る。そんなシスティアにああ、僕の婚約者(ティア)は可愛いなぁとニヨニヨしながらうん、と返事をする。


「そうだね、「ヒロインがクエスフィールに婚約者のいじめを訴える」っていうイベントだね」


「・・・・・・でもフィーに告白してましたわ」


 思い出してしょんぼりするシスティアを堪らずぎゅっと抱き締め頬ずりをする。


 (可愛い可愛い可愛い!生システィア可愛いすぎる!)


「僕がティア以外に目を向けるワケないでしょ」


「分かってますわ。婚約者になる前からずっと大事にされていたんですもの。ただ、フィーはとっても魅力的だから大丈夫だと思ってても不安になってしまうの」


「何言ってるの!ティアの方が魅力的だよ!熱の籠もった目で見てくる輩から見えないように隠してしまいたいくらいなんだから!」


 自分の魅力を全く分かっていない婚約者にクエスフィールは抱き締める力を強くする。


 (ティアは絶対誰にも渡さない!)


 この独占欲丸だしのクエスフィール、お気づきの方もいるだろうが転生者である。


 前世の記憶が戻ったのはシスティアと初対面した4歳、そこで前世は日本人の男子高校生で、親友とふざけてプレイした乙女ゲームの中の世界だと気づくのだ。


 (いやー、あの時は混乱したなぁ)


 目の前で固まったクエスフィールを、どうしたのかと首を傾け見るシスティアに「好きです!結婚してください!」と咄嗟に言ってしまった事は両家族の間で今だ笑い話になっている。


 (仕方ないじゃないか。記憶が戻ったら目の前に幼い《《推し》》がいるんだ)


 前世でのクエスフィールの推しはシスティアだった。


 さらさらの白銀に近い水色の髪にアメジストのような紫の瞳、中性的な美しさ。そんなシスティアが美幼女として目の前にいるのだ。


 その時からクエスフィールは押しに押しまくった。手紙交換の約束を取り付け、ヒマがあれば会いに行き、愛で褒め贈り物をし、両家の両親に訴え婚約者に。システィアの自慢の婚約者になる為に勉強、剣術、魔術、馬術全て全力で取り組んだ。


 全てはシスティアの為の「クエスフィール=ガラナ」になったのだ。断じて乙女ゲームのヒロインの為ではない。


 頑張るクエスフィールを見てシスティアも努力を重ね、優秀な治療師として開花し、クエスフィールや他のメンバーと共に学園所有のダンジョンに潜っている。


 そんなシスティアの不安の原因は、先ほどの令嬢アリサ=ダサヨン男爵令嬢が今年学園に入学した事から始まった。

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