— エピソード3:出航
この第3話では、主人公が「仲間」と出会い、共に旅立つ決意を固めます。修行を経て新たな力の目覚めも。いよいよ物語は海を越え、次のステージへと動き出します。
本文 — エピソード3:出航
仲間たちと挨拶を交わしたあと、俺はアキコに頼んだ。
「俺の神傷の力の出し方、教えてくれないか?」
アキコは少し考えてから答えた。
「…いいわ。ただ一つ条件がある。」
「どんな条件?」
「ここを出るとき、あなたも私たちと一緒に来ること。」
その提案に部屋はざわついた。
「なんでそうするの、アキコ?」とリョウタが不安げに言い。
「ええ、そう思うわ、ヒロシ?」とユキも半分寝ぼけながら問う。
「俺は別に反対じゃない。決めるのはアキコだ」とタケシ。
アキコは黙って俺を見つめた。
「わかった。俺、ここで一人でいるより…」
「完璧よ。訓練を始めましょう。」
「え?もう始めるの?」
「準備はいい?始めよう。」
こうして、俺の訓練が始まった。
「相手はサクラよ。」とアキコ。
「え?なんで…?俺の方が強いはずなのに!」
サクラは軽く笑って言った。
「一度でも私に勝てれば、アキコかタケシと訓練してもいいわ。」
「承知した。」
「準備いい?GO!」
サクラが飛びかかる。プラスチックの短剣であっても鋭い。数分の戦いで、俺は一度も彼女に触れることすらできなかった。10回の挑戦で全敗。
「どう?まだ勝てると思ってる?」
俺は叫んだ。
「再挑戦!」
そこから20回目の挑戦で、変化が訪れた。サクラの一撃を受け止めた瞬間、体中に異常な力が走る。ライノ(サイの霊)の声が聞こえた。
「任せろ、本能のまま動け。」
迷わず拳を振るった。人間離れした一撃。サクラは壁に激しく叩きつけられた。驚愕と恐怖の表情。
「君の力は…超強力な“スーパーフォース”だ。さすがライノ由来の神傷ね。では次はタケシよ。」
「了解。」
タケシに飛びかかり、全力で拳を浴びせた。しかし、彼の反撃は更に強烈で、俺は意識を失った。
翌朝、目を覚ます。
「昨日は何が起きた?」
教えられたのは、俺が自分の力を使いすぎて倒れたということ。アキコはペースを少し落としてくれると決めたらしい。
三か月が過ぎた。訓練は終わり、出航の時が来た。
船とともに積み込んだのは、食料や資材。全て準備が整った。
アキコは船長室に俺を呼んだ。
「ここ、何するところ?」
「アキコ、君が船長じゃないの?」
アキコは笑った。
「違うわ。ユキが船長よ。」
「えっ?!」
「うん。ユキは怠け者だから、私が手伝ってただけ。」
「じゃあ、船長は?」
「ユキが辞めたから、今はあなたが船長。誇りを持ちなさい。」
「ほんとに?俺が?」
「心配しないで。誰か不満があるなら、私が相手になるわ。」
船は島を離れ、水平線が広がる。
俺は心に誓った。
かつての両親と村のために。
すべての神を倒すために。
この――
アキコたちと共に行く旅が、始まった。
つづく…