表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏の少女、浜辺にて。

作者: M.uuu

浜辺の上に一人の少女が立っている。


夏生まれの その少女は

太陽の下 一人 麦わら帽子


少女以外に 人間はもういない

何もかも 暑くなって 暑くなって

みんな溶けていった。


サラサラとした金髪の三つ編みが

彼女の柔らかな 頬をかすめて


風だけが いつものように

そよいでいた。



海は穏やかで、

何もなかったかのように

波の音だけが 響いている。



鼻の上のそばかすを ちょっと

なぞって

少女は美しく微笑む。


世界はこんなに

晴れやかだったと

誰もいなくなってから気づけた。


ずうっと こうでいい。

ずっと これでいいのだ。


ヤシの木は 風にそよいで

楽しそう。


ヤドカリは のびのびと

背を伸ばしている。


青く、澄んだ

海と空。


足元の砂粒すら

生き生きと動いているよう。



こんなに 美しい世界なら

最初から 受け止めればよかった。


人間がいなくなって

雑音がしなくなってから

やっと 世界の音に気づけた。



真夏の空は どこまでも 続いていく。


海も どこまでも 続いていく。


この夏は みんながいなくなってから

初めて 美しいものになったよ。


もう 歩き出せる。


一人分の 足跡だけが

砂浜に 落ちていく。



もう いっぽ、

もう いっぽ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ