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02_存在

 【東京都八王子市 某山中 医務小屋】

「……きろ。」

 「……起きろ。」

 「おい、起きろ。」

男が、神崎議員、もとい佐藤マーク声をかける。

「うぅ……グッ!!」

傷痕が痛む。

「悪いな、これくらいの処置しか出来ないんだ。許してくれ。」

マークの顔には申し訳なさ程度の包帯が巻かれていた。

「ここは……どこだ…?」

辺りを見渡すと、薄暗い掘っ立て小屋のような場所にいる。ランタンの光だけが静かに部屋を照らしている。ベットで寝かされているマーク、そしてボロボロの服を着た男が二人

「そんなことは後だ、お前、なんで市街地なんかに居たんだ。」

「市街地……?」

「八王子の北浅川河川敷で倒れてただろ。」

そして、もう一人の男が口を開く。

「お前に何があったかは、大体察しがつく。だが問題はなんであんな所に居たかだ。死にたかったのか?」

マークは薄暗くて見えにくかったが、男二人の髪は日本人とは思えない茶髪であることに気づいた。

「私は、政治家だ。だが、後ろから刺されたらこんな姿になって、挙げ句の果てには殴られて、どうなってるんだ……。」

マークは吐息を漏らす。

「何を言っているんだ……お前は?混血の少年が政治家何てあり得る訳がないだろ。」

「いや、違う。そもそも私は50代のじじいだった。名前も神崎敦彦と言う名前だ。」

マークは力強く訴えた。

「申し訳ないが、そんな議員聞いたことがない。もし、お前の話が本当なら転生でもしたってことだろうな。」

「あぁ、そうだな。俺もこんな差別されない世界に転生したいものだよ。」

二人は笑いながら話す。

「本当なんだ!信じてくれ!」

必死の訴えも、彼らには届かなかった。

「まぁ、なんだ。お前は疲れている。もう少しベットで休んでてくれ。」

二人の男は、小屋から去っていった。

「なんで、俺は警官に殴られたんだ!!この世界はどうなってるんだ!」

去り際に一人の男がマークに向かって話す。

「お前が、俺らと同じ混血だからだよ。恨むなら、転生先を恨むんだな。」

ガチャン

「くそっ……。全くどうなってるんだ!」





【東京都八王子市 某山中 混血人種本部】

「失礼します。」「失礼します。」

「先程、市街地偵察の際に発見した少年について話を聞いてきました。名前は佐藤マーク、11歳です。」

「そうですか……。ちなみに、何をしていたと?」

金髪の女性が話す。

「それが……」


「転生……政治家……。んふ、面白そうねぇ……。その少年を連れてきて。」

「は、はい。分かりました。」





【東京都八王子市 某山中 医務小屋】

「おい、少年。レイナ代表がお前を呼んでいる。来い。」

男がマークに声をかける。

「レイナ代表って言うのは……?」

「お前、何も知らないんだな…。」

男は呆れたように話した。

「詳しい話は後だ。早く来るんだ。」

マークは言われた通りに、男について行き、小屋を出ていった。





【東京都八王子市 某山中 混血人種本部】


マークは少し広い部屋に通された。そこには無線機や、通信機が置かれていた。

「失礼します。その少年を連れてきました。」

「ご苦労様。それじゃあ彼と二人で話したいので、退室していただいても良いかしら?」

「そうですか……。承知しました。」

ガチャン

男は部屋から出ていった。


「さて…。マーク君、話を聞かせてもらおうかしら?」

金髪で整った顔の少女が、マークの方へとゆっくり近づく。

「代表って……?」 

マークは思わず口に出す。

「聞かせてくれる?

     ……あなたの

           ……前世の話を。」


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