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10「武闘祭Ⅴ」

あと二話で武闘祭も終わりです。

そして近日、皆さんにたくさんアドバイスをもらいたいのであしからず。


 「優勝者アリゼ・ロスフェリア、準優勝者イトシ・カケミチはこの場に残り最終試験を開始する。 なのですまぬが他の者たちはここで解散となる。皆よく戦い、その意志と渇望を見せてくれた。その勇姿が皆の心のなかで生き続けることを願っている。   ……これにて武闘祭の終了を宣言する」


 ようやく武闘祭が終わり、あとは最終試験とたらに望むだけだ。たぶん面接の類であろう。


 「ちょっとーぉそこのきみー。」


 後ろからフェリックス・アーガイルに呼び止められた。


 「なんですか?」


 「なんですかじゃにゃいよ。その傷、外傷は目立たないけど肋骨折れてるし、腕も打撲してるの。気づいてる?早く私の治療を受けなさい。」


 「……丁重にお断りさせていただきます」


 この傷はアリゼが俺にくれた贖罪の傷であり、その傷を魔法ですぐに消そうなどと考えるわけがなかった。


 「なんで?! 治癒術士として怪我人は見過ごせません。それに命を粗末にする人は私が許さにゃいの。」


 治癒術士としての矜持が怪我人を逃さない。でもこれだけは直したくないのだ。なので俺、なんとか理由をつけてその場からそそくさと逃げた。





 「イトシ・カケミチ、こちらへ来てくれ」


 「クルシュ様、お初お目にかかれて光栄でございます」


 「私もお前のようなやつに出会えたことを喜ばしく思おう。カケミチ。主の戦いを見たが、お前はまだ余力を出しきっていないな? なので私からお前に貸す課題がある。」

 

 もしかしてこの感じ面接じゃないのか?


 「ヴィルヘルムと戦って、勝て!」


 「………………………………………………――――――――――――は?」



  *        *        *


 アリゼがフェリスと何か話しながらこちらに来た。


 「すいませんクルシュ様、遅れました」


 「心配には及ばない。まだ準備中なのでな。」


 どうやらフェリスに俺が治療を受けない理由を話していたため遅れたそうだ。

 そして、どうやら俺が傷を治さない理由は俺とアリゼが元々夫婦で離婚したが、武闘祭であってしまい、いろいろなけじめをつけたいがために俺から頼んだことだという事になった。

 ……大事な部分を言わないだけでここまで内容が可愛くなるのかと半ば感心する。


 「アリゼかよく来てくれた。まさか本当にこの大会に勝ち、私のもとへ来るとは思わなかったよ。本当によく来てくれた」


 アリゼが目に涙を浮かべながらクルシュ様に礼をした。

 これからすること知っている俺には感傷に浸る余裕がなかった。


 「さてふたりとも最後の試練だ。 といっても簡単だ、これから私の執事である剣鬼ヴィルヘルムと戦ってもらう」


 「…………――――へ!」


 アリゼは俺と同じ反応をしたのだった。


  *       *       *


 「これより、我がカルステン領、主催、武闘祭の最終試合を行う」


 ついに始まってしまった。さっき説明されたが「勝て」というのは気構えであって本当に勝つ必要はないようだ。そりゃそうだ剣鬼に勝てる人なんて世界でも20人ぐらいだろう……結構いるな。やっぱりこの世界はおかしいじゃないか?

 話がそれた。どうやらヴィルヘルムと戦う理由は俺達の限界を図りたいからだそうだ。少しぐらい頑張らねば。


 「貴公らに問うが、どちらからしたいなどはあるか?どちらが先でも構わんが、」


 「私からお願いします」


 アリゼが声を上げる。


 「そうか奮闘を祈る。危なくなれば私が止める、安心して戦ってくれ。」


 アリゼが壇上へ上がる。試合場は半径100メートルほどの大きな円。ルール自体は1日目と変わらないそうだ。


 「ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア様、歌に出てくる人に会えるとは思いませんでしたが、私は貴方に勝つ気で望みます」


 「もちろんその心構えでいてください。アリゼ殿を倒せと主君から言われておりますのでおまり手加減はできませんが」


 といっているが多分手は抜くだろう。じゃないと本気でアリゼが死ぬ可能生もある。


 「それでは私めから言わせていただきます」


 戦う前に相手への礼儀としてよく自らの名を宣言する戦う者たちの世界共通の習わしだ。


 「クルシュ・カルステン様が第一の執事、ヴィルヘルム・トリアス」


 「…え、どうしよう。ごめんなさいカケミチ、私の肩書ってなんて言えばいいと思う?」


 真剣な空気がいきなりほんわかになってしまった。そんな可愛い顔で可愛いことを言わないでほしいものだ。


 「……そうだなうーん。とりあえず土の姫とかでいいんじゃないか?」


 「えーなんかダサくなーい?まぁーいいや。それにする。」


 アリゼの口調が明らかに最初の方と違っているがあれが素なのか?緊張がなくなってきているなら幸いだ。


 「こういうことが初めてとは知らず申し訳ございませぬ。もう一度しましょうかな?」


 ヴィルヘルムさんが気を使ってくれたようだ。 さすが騎士である。


 「すいません。お願いします!」


 アリゼも気を引き締める。


 「では、……。クルシュ・カルステン様が第一の執事、ヴィルヘルム・トリアス」


 「『土の姫』アリゼ・ロスフェリア」


 アリゼと剣鬼の戦いが始まる。

 

 


 

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