第一章『汚物への転生』プロローグ
第一章『汚物への転生』
第一幕プロローグ『僕は誰?』
吐く息が白くなり、外に出るのが嫌になる今日この頃。
俺、糸師 カケミチは高校からの帰りであった。今日は楽しみにしていた鼠色猫/長月達平さんが著者の『Re:ゼロから始める異世界生活』の新刊が発売される日であり俺は学校が終わったらすぐに買いにいけるように友人達の誘いを断り全速力で本屋に駆けつけ本を買って、家に帰ってから読もうと思っていた。…………
今回は最強の剣聖と神龍アルデバランの決戦であり、今まで作中で剣聖が戦う中でダントツの強さを誇る敵でファンとしては最高の話で間違いなかった。これを読まない馬鹿はいないだろう。
そんなことを考えながら自宅のマンションに入り自室の10階に登るためにエレベーターに乗った。「ドアガシマリマス」今思えば神龍アルデバランは今までの敵で一番強いが、強さだけで言えば神龍と引けを取らない魔女教徒がいたことを思い出した。
奴は簡単に言えばとにかく自己中な馬鹿である。隙があれば相手に自分の権利を主張し、理屈の通らない主張を無理矢理通らせる。そして今まで気分で滅ぼしてきた村で顔を気に入った女を強引に妻にし、その妻の関係者や親族を皆殺しにするという聞くだけで殺意の湧くようなクズである。まさに強欲を司るにふさわしいクズである。
まとめてしまえば、「見た目は大人、頭脳は子供、その名は魔女教大罪司教『強欲』担当レグルス・コルニアス」である。
はっきり言うが俺はこの名前が嫌いだ。俺の親は珍しくどちらとも獅子座生まれで、俺も獅子座生まれであった。だからか両親は獅子座の一等星でであるレグルスの和名である『糸掛け星』と苗字の糸と組み合わせて糸師 カケミチと語呂合わせの要領でつけたそうだ。
日本でレグルス星は豊作の意味を持ち、意味的には十分なのだがリゼロ のゴミキャラと名前が同じというのが気に食わない。まぁそうなことを言っても仕方がないのだが。
エレベーターが9階に差し掛かった時
「ガタン!バギャ!!」
明らかになってはいけない音がした。エレベーターは小刻みに揺れ、恐怖で立ってられなくなった。
「ドギャァア!!!!」
エレベーターが急速に落ちてゆく、何が起きた俺は死ぬのか?
頭が真っ白になり何も考えれない間にエレベーターは地に着く。凄まじい衝撃と暗転する視界の中、俺の人生は幕を閉じた。
「星を助けなさい……」
聞き覚えのない人ではないような声がした
「どうか彼女だけは、妻だけは見逃してくれ」
絶望と悲しみ、そして隠せない怒りのこもった声が聞こえた。
「彼女は君の妻だったのか。じゃあ処女じゃないんだね、そんな使用済みの女、僕からお断りだ。もういらないなー」
何か聞き馴染みのある声で憎たらしい声。いや俺は今なんと言った。処女だからいらない?頭がイカれているのか?いやまず結婚相手がいる人を欲しがる時点でおかしい。
そして時間が経つにつれはっきりする自意識と混乱。この光景と声、そしてこの事態を引き起こしたであろう男の言動。
まさか、、そんなことが……
「俺は、いや僕は誰だ?」