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「いつまでも私達をよろしく」

 ああ、なんか時間が経ったよね。べつに時間が何を解決してくれたわけでもないけれど。でもどうしようもなく季節がすぎて行って、多分これからもずっとそう。下らないことで悩んだり喜んだり、その一つ一つを残して置いたりは出来ないけれど、結局今は今でなんかやってて。いつかは死ぬときが来るけれど、その時まではずっと続くんだろうね。


 私には何も残らないと思ってた。このままいつか年老いて。なのに気付けば今だって泣きながら生きてる。多分昔の私が見たら生き恥さらしてるって思うだろうな。でも今はその自分に対して胸をはって言える、あんた今の私の何を見たのって、私は今もここにいて、泣きながら生きているのに、あんたはそれを見ずに何を言うのって。


 当時のことはまだよく覚えてる。今でも時々思い出す、泣いてしまう。なんなら昔のほうが胸をはれるようなものじゃなかった。訳も分からず、言葉は一つやたら大袈裟で、でも心の底から彼女に寄りそい、彼女と会話ができていた。少なくとも嘘はなかった。


 でも今の私はもう彼女とはどこか他人行儀で、申し訳なくなる時もある。ああ、私はもうあなたたちではないから、一緒に痛がったり苦しんだりはしてあげられない。ごめんね。


 それについては、もしかしたら昔の私は絶対に許さないかもしれない。でもあなたたちはしんでしまったのだ。死んでしまった。それでもどうしようもなく確かにそこにいて、生きていたんだなって、今となってはそう思うけども。


 今も昔も変わらないことといえば、何かを得ては何かを失うことを繰り返しているということと、あとはこれから先、自分がどれだけ生きていられるかなんて意味無く考えるのも変わっていないかもしれない。


 私を生かしてくれたすべての人に心から感謝申し上げます。私はまだ現在、ここに生きております。沙也、あなたにも人並みの感謝を。あなたも人並みに、そう思います。私が人並みに思います。

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