血より青くて春より遠い
たとえ出来うる限り言葉を尽くしたところで、何か一つを完全に表現することは出来ない。不完全な言葉で沙也を語りたいとは思わない。それでも話さずにはいられない。なんでだろう。私の曖昧な記憶を元に吐く言葉は今にも自我に飲み込まれそうで、昔のこと、そう忘れてしまうのが、きっと人の生き方だと思う。
私は、そう、まだほんの少しだけ頭がおかしくて、掠れた喉でも音が出るなら、なにが疚しいんだって思う。足りない言葉で、それでも沙也について語ろうと思う。
種を蒔いて、その成長を見守るなら花が咲くと思う。未熟な姿から一時の芸が成って、やがて枯れていくと思う。だけどその一瞬に私達は完全な言葉を手に入れるのではなくて、完全、不完全そういうものから解放される。ああ、でも、未だ声も掠れていても、でもいつかは私も死んでしまうんだな。
私は、そう、まだほんの少しだけ頭がおかしくて、掠れた喉でも音が出るなら、なにが疚しいんだって思う。足りない言葉で、それでも沙也について語ろうと思う。
種を蒔いて、その成長を見守るなら花が咲くと思う。未熟な姿から一時の芸が成って、やがて枯れていくと思う。だけどその一瞬に私達は完全な言葉を手に入れるのではなくて、完全、不完全そういうものから解放される。ああ、でも、未だ声も掠れていても、でもいつかは私も死んでしまうんだな。
序節
「いつまでも私達をよろしく」
2024/06/23 21:33
(改)
第一節「言語」
第一項「滞留」
2024/06/23 21:36
(改)
第二項「曲面」
2024/06/23 21:38
(改)
第三項「踊り場」
2024/06/23 21:40
(改)
第四項「海」
2024/06/23 21:43
(改)
第五項「植物」
2024/06/23 21:47
(改)
第六項「春より遠い」
2024/06/23 21:52
(改)
第二節「遠流」
第一項「平面」
2024/06/23 21:56
(改)
第二項「振動」
2024/06/23 21:58
(改)
第三項「文化」
2024/06/23 22:00
(改)
第四項「血より青い」
2024/06/23 22:06
(改)
第三節「白日」
第一項「太陽は鉛直、蟻たちは衝突を繰り返す」
2024/06/23 22:09
(改)
第二項「下がる解像度」
2024/06/23 22:11
(改)
第三項「切断と溶接」
2024/06/23 22:12
(改)
第四項「上がる音圧」
2024/06/23 22:14
(改)
第五項「成就」
2024/06/23 22:17
(改)