9話・魔王プラチナウェル
凍てついた学長の声が学長室に響いたのだった―
―――――――――――
「これは?」
アネリアが学長に近づいて、
自分より背の高い学長を上目で見て、
少し睨んだ。
「アリマテ…?か。何故だ?
どうして。まさか、君たちが?」
動揺しているフリをした、学長がそう言った。
「僕たちはしてないよ。こんな事。
さっきから学長の様子もおかしかった。
その原因がアナタにあるんではないかと
思ってね。だから、この部屋に入った
そうしたらこうなってた。そういう事だ」
クライムがポケットに手を入れ、
アネリアを庇う様に学長とアネリアの間に入った。
「はぁ…そう、か」
学長がため息をついた。
そのすぐ後に、窓が大きな音を立てて割れた。
その破片はアネリア達に跳ね、
アネリア達に小さな傷をつけた。
「魔王プラチナウェル」
その黄金の様に輝く長い髪を、サッと払って登場したのは魔王と名乗った、美形の長身の男であった。身に纏う覇気は尋常ではなかった。
プラチナウェルが剣を上空で円を描くように、振るった直後、床に激震が走る。亀裂を生み出し、強風が吹く。それに伴い、チーム『月闇』は魔王に
床に叩きつけられた。
「なっ…ッ!!!」
カッと目を見開いて、エリーナは自分の剣を鞘から取り出し、戦闘できるように構えた。
だが、プラチナウェルに一撃入れようとした瞬間、プラチナウェルが指と指を擦って、音を鳴らした瞬間、『月闇』一同は、窓から瞬速で、外に放り投げる。
「んっ…くっ…っ」
エリーナは額から流れる血に気づいた。
外は、学長室から程遠い、
学園庭の物置の中にエリーナ達はいた。
その5人のぶつかる衝撃に耐えきれず、物置のドアは外れて、歪み、遠くにそのドアがあった。
「魔王プラチナウェルに、学長室の所の窓に
向けて私達は攻撃された。その威力のせいで
学園庭よりも向こうの、物置の倉庫に私達は
ぶつかり、ドアを破壊して、中にいると…」
詳しく状況を把握したエリーナ。
エリーナ以外皆気絶している。エリーナはその認識だ。だが、アネリアは気絶したフリをした。
この衝撃に弱者が耐えなどできないから。
弱者を演じているアネリアにとって、やるべき演技だったのだ。竜人のアネリアにとって―
「魔王プラチナウェルッッッ!
今ッ!打ち滅ぼす!」
そう決意した、エリーナは学長室まで学園の屋根を瞬足で走り、向かおうとした、直後、学長室からやってきたプラチナウェルと戦闘となる。
「なぜここに!学長室にいたお前が!
なぜ!」
学園の屋根で相対した2人は、睨み合っている。
エリーナは怒声を上げる。
その瞬間エリーナがプラチナウェルの背後の足元に移動する。そこから剣で足を切る作戦。
それは失敗に終わった。
「今は、今は、今だけは、
貴様を殺そうとはしない」
プラチナウェルの重圧的で、落ち着いた声がエリーナの耳元で囁かれた。
「何をっ!アッ………」
プラチナウェルはエリーナの脳に干渉して、
眠らせた。膝から崩れ落ち、屋根の上でうつ伏せに眠ったエリーナを、プラチナウェルは、蹴飛ばして、学園庭に落とす。
――――――――――
「見事です。プラチナウェル様」
拍手をしながら現れたのは、グオンザ学長だ。
「貴様は……あぁ、命令に順従だね。
これからも尽くせ。我らのために」
「もったいなきお言葉です」
グオンザは深く頭を下げる。
「これからも続行しろ」
「はい」
プラチナウェルの指示に従いながら動くグオンザを見つめて、プラチナウェルは遥か遠く、
支配地「リオガチオ」に向かった。
「プラチナウェル様、余が必ず…」
グオンザはそう言い、拳を壁に叩きつけた。
――――――――――
その光景を見たアネリアはゾッとした。何せ、
あの学長は、魔王プラチナウェルの配下、
魔王の配下だったのだから…―
「これは、誰かに伝えないと。でも、
誰に?なんて言う?どうしてそれを知ったと
言えば?どうすれば、どうすれば…」
アネリアの1人物置の倉庫で頭を抱えた。
次話も見にきてくれると嬉しいです。
評価、ブックマーク、感想お願いします!!!