8話・嘘をつく竜人
寮に戻ってきた、チーム『月闇』は
テーブルに3対2で座っていた。
「魔女…抜き打ち試験…これらに学長は
関わってると思うか?
そもそも、魔女と相対したのは俺たちだけだ。
だから、学長が関係してないとも言える。
だが……」
カイビスが考えるように言った。
「つまり、カイビスは、学長を疑っていると?」
クライムが片目を瞑ってそう言った。
「簡単に言うとそうなるな」
「ふむ…」
カイビスとクライムが言った後にしばしの沈黙が流れる。
「それも重要。とても、ね…
でも、アネリア、一ついいかしら?」
エリーナが前に座っているアネリアを見据えた。
「竜人族…アイズピストがアネリアを見て
そう言っていた。貴方は竜人族の関係者?」
エリーナがアネリアにそう問うた。
アネリアは少し考えがえてから、嘘を述べることにした。
「アイズピストはたしかにそう言ってたね。
でも、私は人間だよ!竜人族は元は
割れた額からツノが生えている!
私にはそれがない。しかも、この学園は
人間しかいないんだよ?私がそんな訳ない!」
アネリアは椅子から立ち上がってそう笑った。
「そうね、疑った私が悪かったわ。
よーく、考えればわかってた事だもの」
エリーナは目を瞑って、そう言った。
エリーナからへのアネリアの疑いは晴れた。
元々疑っていたわけではないが、
もしかすると―と思っただけであったから。
「フーア、学長室、変な感じした」
フーアがむすっとした顔でそう言った。
「明らかにあれは何か隠してたな?
何だ?フーアが入ろうとした瞬間、
尋常ではない殺気を感じたぞ」
カイビスがそう言うと、エリーナがすぐに続けてこう言った。
「そうね。学長は今は、学園内にいないはず。
屋敷に帰っているはずだわ。
見に行きましょう。学園の生徒を
脅かす脅威があるかもしれない」
エリーナが立ち上がる。
その後に、アネリア、カイビス、フーア、クライムが続いた。
―――――――――――
「着いたね」
学長室前に着いたクライムがそう言った後、
『月闇』は覚悟して、学長室の中に入った。
「変な匂い」
そう言ってフーアは鼻を摘む。
アネリアがスタスタと中に入っていく。
「アネリア、少し待ちなさい、何かあるかもよ
慎重に」
エリーナがアネリアに注意をする。
「わかった!」
アネリアはこの場に似合わない、笑顔を見せて応じた。暗いカーテンを抜けた先には暗闇があった。
「電気つけるぞ」
そう言って、電気をつけた後のカイビスが青ざめた顔をした。
「カイビス…何をそん、な…?」
最後までいいきれず、アネリアが目を見開いた。
その場所には学長の側近、アリマテの死体があった。目を見開いた状態で息絶えていた。
「ひゃっ…っ!」
短い悲鳴をあげて、フーアが後ろに下がる。
それをクライムが支えると、
フーアの先ほどまでいた所にアリマテの片腕が
落ちていた。
「こ、これは…」
エリーナが口を抑える。
「エリーナ、生きているかもしれない。
治癒を」
クライムがエリーナにそう言った後に、
エリーナは早歩きでアリマテに向かった。
「無理よ、これ…死んでる。
完全に…治癒なんてもんじゃできない。
蘇生魔法を使える者でも無理よ。
これ、息絶えてから、十時間以上経ってる。
蘇生魔法があったとしても、
そんな時間が経っていたら、蘇生なんて無理」
蘇生魔法を使える者を呼ぼうとした、クライムにエリーナは不可能なことを伝えた。
「クッソ…何だよ、これ…」
カイビスが頭を掻く。
「どうしたんだい?そこにいて」
学長の酷く凍てついた声が、
学長室に響いたのだった―
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