4話・グオンザ・グリーベル
4話目です。
「あ、もう起きていたのね、アネリア」
「うん、目覚めが良くてね」
エリーナは窓を開けて外を見る。
「もうすぐ、試験ね」
「うん…」
「自信がないの?」
「最下位だからね、いつも」
「それでも、アネリアは頑張ってるわ。
それに、貴方もそう思うでしょ」
エリーナは後ろからやって来た、カイビスに
向けて笑みを浮かべる。
「頑張ってても…あの学長は認めねーぞ。
あれ以来、アネリアを目の敵にしてるからな、
アネリアの試験順位は、中間あたりにあっても
いいはずだ。少なくもチーム『雪氷』、
『夜風』のメンバーよりかは上かと思うがな」
カイビスは自身の考えをエリーナに言った。
「問題はそこだわ、あの学長を
完全に認めさせるにはどうするか
それが問題。あの学長は少なくとも、
私の姉の諜報結果によると
学長はすでに…」
『至急、学園庭へ!」
部屋にあるスピーカーから流れる声は必死だ。
「早く!」
エリーナはカイビスとアネリアを急かす。
急いで制服をきて、後から合流した
クライムとフーアと、5人で講堂へ急いで向かった。
「魔物軍か?それとも…」
カイビスは顔を顰める。
学園庭に着いたアネリア達は、
襲来して来た魔物の数に絶句する。
エリーナはその時、学園の屋根に目を向けた。
「学長!何をしてらっしゃるのですか?
生徒に被害が!」
エリーナは学長に抗議する。
「この程度の魔物、倒せないのならば
勇者学園にいらない」
学園の屋根に足を組み、何もしないで座っている
グオンザ学長。
「ですが!」
エリーナは声を荒げる。
学長は地に降りて来て、
「君の大事なお友達が死ぬぞ。
君とあの勇者様との約束だから、アネリアを
学園内に留めている。だがな、
反対なのじゃぞ、アネリアをこの学園に
留めるのは。約束は約束だから…」
そこまではギリギリ周囲に聞こえるぐらいの声で言ったが、その後エリーナの耳元で、
「アネリアを潰す。徹底的に」
学長の発したその言葉にエリーナは目を見開く。
「なっ…?!」
学長はもういない。1人で学長部屋に戻ったのだ。
「私も参戦しなければ」
長く鋭い剣を力強く持ち、走って魔物に向かった。
ーー◇ーー◇ーー◇ーー◇ーー◇ーー
「ふふ、ははははは」
学長室でガラガラと笑った。
学長の秘書的存在、アリマテが頭から血を流し、
切り落とされた右腕がない状態で学長を睨んだ。
「怖いな君は」
グオンザ学長は笑った。
「な、ん…で」
「君が邪魔だから」
そう言って短剣を持って、笑い、
アリマテの目と目の間に短剣を刺した。
アリマテは今度こそ、本当に死んだ。
返り血を浴びた自身のその体を見つめて邪悪に笑った。窓から魔物と戦う生徒たちを見て笑った。
「魔王、プラチナウェル様。
私は必ずこの手で…」
そうしてグオンザ・グリーベルは
アリマテを魔物と戦う生徒たちを見据えながら殺した。
学長の正体は一体?
これからも謎が深まる、この物語、
『勇者学園の弱者アネリア』を
よろしくお願いします