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Cruel Shall  作者: sy
7/7

「運はこちらの味方をしてくれたみたい」

 クリアは悠真の家の前でソラを人質に抱えながら言う。

「もしも殺されたらの対策……なのか」

 悠真が答える。

「まさか、あの人数でも倒されるとは思ってなかったけどね」

じゅつで殺されたら、過去に戻る……まさか、ソラが捉えられているところに返ってくるとはな」

「……僕たちにも事情がある。察してくれ」

「そうか……」

「ユーマ。……なんで受け入れるの? ソラ連れ去られるんだよ?」

「人にはいろいろな事情がある。社会が悪い」

「ちがう。それはあきらめだよ」

「そうだな。諦めかもな。……俺はいつの間に年を取ってしまったのかもしれない」

 老害という変な区別をする言葉を使わないように気をつけよ。

「そんなこと知らないわよ。ふざけてる場合じゃないんじゃない?」

「そうだな」

 ソラは敵に捕まっている。じゅつで倒すことはできるが、現実世界で倒すことはできない。無意味な繰り返し。

「……また、僕たちバカにされてる……」

 フォールはそう言う。

「バカにはしてないよ。クウには逆らえないんだろ?」

「……まあ、逆らえないというかなんというか」

「ユーマ」

「おう」

「わるいくせ」

 嫌なことがあったら無視するのがいいのかもしれない。そうやって、人は離婚していく。

「フォール……つれていって」

 敵であるはずのフォールとクリアは驚く。

「クウと話に行く」

「そんな軽いものじゃないぜ? ひどいめに合わされるかもしれない」

「いいよ」

「ああ、いいぜ」

「悠真」

「……」

 そういって、二人はソラを連れて行ってしまう。

「なに泣いてるの?」

 そう行って優香はソラを慰める。

「はっ倒していい?」

「冗談」

「ああ、ソラを探しといてくれ」

「うん」

「ありがとう」

「うん」

 ソラも優香もどこか行ってしまう。

「こうなるのがわかっていたのか?」

 家の扉によっかかっている蓮に話しかける。いつの間にか公園から移動してきている。

「そこまではわからないよ」

「そう……それでも、なんかわからないけどムカつく」

「そういうものじゃない? どう? 今日一緒にバーでも行く?」

「……行かないけど」

「そう」

「楽しいか?」

「楽しいよ。自由に生きてる。悠真は敏感だよね。全てに気を配っている、全てに理屈をつけている感じ」

「……そうなのか?」

「うん。普通の会話であまり盛り上がれないでしょ」

「まあ、会話は得意じゃないな」

「本とかの内容で盛り上がろうとするから、普通の人とは仲良くなれてないじゃん。また会話が苦手とは違うよね」

「そうだね」

「普通の会話も下手だけどね。こんな会話したら、ナンパかも? って思いながら、気を配るあまりに、人生がつまらなくなってる感じ」

「ほんとそうだよな。男が草食になってもしょうがないよな。そもそも、人の脳なんて一万年以上も進化してない。つまり、環境が人を変えるんだ。環境が悪い」

「ほら」

「ああ。こういう偏屈な友達がほしいな」

「どうていは恥ずかしいんじゃない。本質は違うと思う。自分の内を見せない。隠し続けて生きていて、孤独になって、寂しくなって、その原因を勝手に他の出来事にしているだけだと思う」

「女性に言われると心に来るものがあるな……と言うかお前も偏屈だよな」

「あら、嬉しい」

「だから褒めてないっつーの」

「私は、他人の目を気にしないで楽しそうにやってるだけ」

「逆ナンとか? 普通のナンパとか?」

「そうだね。文字通り、初めて会う人ばかりだからね」

「そのじゅつ羨ましいな」

「いいでしょ」

「まあ、俺からしたら迷惑だけどね」

「自分ファースト」

「自国ファーストみたいだな」

「そうだね」

「ボランティアはやらない方がいい。他の国の人が豊かになることによって、自分たちが相対的に貧しくなる」

「まあ、そんな簡単に貧困の差は治らないけどね。それに、そんなこと言ったら怒られるね」

「そうだな」

「でも、他人のことばっかり気にしすぎるより、自由に生きたほうがいいと思うけどね」

「まあね。でも、それは諦めたよ。自分の持っている才能というピースで勝負するしかない」

「現実をみろ。だね」

「現実を見て、受け入れて、なにも改善しないのではなく、何かしら改善する」

「ソラのことはどうするの?」

「かわいい子には旅をさせよ。経験しないとわからないよ」

「そうともわからないけど」

「もし、ボランティアしてくれない人に対しては、本当に貧しい人がいるところを見せれば、感情に訴えれば、言葉だけで訴えるより効果あるよ」

「そうだね。ソラ

「なんで手伝ってくれないのか教えてくれてもいいんじゃないか?」

「この世界に干渉したら、消されちゃうかもしれない」

「まるで、自分が偉いみたいだな。……今ぐらいの干渉はいいのか?」

「そうだね。どう? バー行かない?」

「逆ナンする?」

「おごるよ」

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