表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cruel Shall  作者: sy
4/7

術(じゅつ)

「おまえ、蓮……だな。クウってだれだよ」

「当たりー」

 悪びれもせずに蓮はそう答える。さっきまではクウという偽名を使っていたみたいだ。

「ソラ。悪いところだぜ。俺たちをもて遊ぶの。……まあ、男遊びに離れておいたほうがいいか」

「そうね」

「ほら、経験者からのアドバイスだ」

「悠真」

 咎められる。

「すいません」

 即謝る。

「そもそも、ソラは相手が変な人かは見ればわかるから、心配する必要はないしな」

 優香から少し目をそらしつつ、そう言う。

「ソラ、いつからわかってたんだ?」

 蓮が尋ねる。

「けっこう始めのほうから」

「さすがソラ。それもわざなのか?」

「どうなんだろ? でも、においとかで何となくわかる」

「俺そんなにくさいのかな―?」

「まあ、格好はくさいっていうより、腐っているだな。特に頭らへん」

「でも、ファッションは普通なのかしら? 量産型ってやつね」

「どこのモビルスーツだよ」

「違うわよ。ファッション用語みたいなもの」

「まじか……共感力低いのがバレる」

「バレてるって」

 蓮はオシャレっぽいような、でも、周りと同じような服装をしている。

 共感力って本当に難しい。「次の時間割は?」と高校のときに俺に聞いてると思って「この後は体育だよ」と答えて恥をかく。これも共感力の低さなのだろうか? ……普通に寂しい人生をおくっているだけだな。

「蓮って本当に、そのじゅつずるくね?」

「いいでしょ」

「うらやましいなー」

「早着替え・髪染め・目の色変わったり、性別は変わっているのかはわからないけど、見た目はごっそり変わるよな」

 最初は、女性のような喋り方をしているたが、今は男性のような喋り方をしている。

「あとは声も変えられるのよね」

 じゅつが現実世界にここまで応用できているのは、連くらいしかいない。断言できる。普通、じゅつじゅつの世界……現実世界とは異なる世界でしか使うことができないが、蓮は今目の前で見た目を変えてみせた。

「なんで、

「だから、この世界に干渉しすぎちゃいけないんだって」

「いやいや、意味分からないって」

「あ、でも、これから面白い奴らくるよ」

「ちょっと待て。蓮の未来予測はあたるんだよ」

「それほどでも」

「ほめてねえよ。ねえ? やめろよ? ほんとに。マジのマジで」

 今朝、変な人に絡まれたばかりだ。

「じゃーね」

「何してるんですか?」

 灰色の髪をしたソラよりかは年上だが、悠真や優香よりは年下くらいの少年に話しかけられる。

「ん? 知り合いか?」

 誰かの周りに集める才能でもあるのだろうか? 危機に構える。

「見たことない。ユーマ、嫌なニオイ」

「さっき、クリアとフォールて人が家に来た。なにか知ってるか?」

「この人とかんけいしてる」

「さすがですね。ソラのじゅつは」

「ありがとな」

「ソラを出してくれない? 僕は、そいつに用があるんだ」

「仲間を殺せと言われて、殺すバカが居ると思うか?」

「そりゃ、残念。いてくれたら楽だったんだけど」

術具すいぐ……」

 じゅつが発動され、相手は術具すいぐを使う。文字通りいきなり武具(刀)が現れ、攻撃してくる。氷のすいを使い、相手の氷を凍らせる。剣は鋭くなければ、殺傷能力はない。それを見込んで凍らせる。しかし凍らせたかと思えば、剣が火をまとい、悠真の氷が熔け、血が飛び散る。

「君のじゅつは見せてくれないのか?」

「僕のじゅつはシャイなんだ」

「とか言って、使えないのか? 君とソラの関係は何なんだ? しつこすぎちゃ嫌われちゃうぜ」

「愛はネバネバだよ。ネバーギブアップの精神で舞い戻ってくるんだよ。それより、相性最悪じゃん。ソラを渡したほうがいいんじゃないか?」

「何いってんだ? この世の中に相性最悪なんてね―よ」

 そう言って、相手の炎のまとった剣を氷で作った剣で受け止める。

「優香、ソラと一緒に逃げてほしい」

「そう、わかった……」

「逃がすとでも?」

「逃させるさ」

「ユーマ……やっぱり、頼ってくれないの?」

「え? いや、頼るもなにもないでしょ」

「いつもこういうとき、たよってくれないじゃん」

「だから違うって」

「ちがわないでしょ」

「それに、じゅつには向き不向きがあるし、こっちのほうが効率いい……」

「理屈ばっかで説明しないでよ。もっと感情に従ってみてよ」

「わかった」

「  」

「…………邪魔だからあっちいってろ」

「……  」

「場所をわきまえろ」

「そんなこという必要ないじゃん!」

「ごめん。優香」

「うん」

 そう言って、違う場所に行ってもらう。

「どこかに行かせると思う?」

「仲間割れとは、面白いことだな」

「待ってくれなくても良かったのに」

「いやいや、自滅してくれる方にかけたのさ」

「これも作戦のうちか」

「もし、攻撃を仕掛けたら、君たちの喧嘩がなかったことになるかもしれないからね」

 たち悪い。クウだけでなく蓮も。敵が来ることを知っていた。だから最初に公園であったとき、クウと名乗っていていた。未来を見通す力でもあるのか…………だとしても、本当にこの世界に干渉する気はないらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ