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Cruel Shall  作者: sy
3/7

再開

「またやられて帰ってきちゃいましたね」

 敵の2人は親玉的な人のもとへと行き、恐る恐る説明し、帰っていいよと言われた。

 特に怒られもせず。

「クウ。どうするんですか?」

「どうもしないよ。スエ。もし、やめたがっているなら、辞めてもいい。それだけ」

「優しいですね」

「さあな」

「ソラがそんなにすきなんですか?」

「そうだな」

「恨みつらみは怖いですね。なんでそんなにすきなんですか? 同じような能力持ってるから?」

「同じじゃないよ。俺より強い。しかも、相手が持っているのも俺と同じですいじゃなくて、わざ。自ら手で手に入れたわざ

すい嫌いですもんね。私達。だとしても、いったい、どんな過去を背負っているんだーって感じ。どうやったら、人の心を読むだけではなく、動物とも会話する能力が手に入るんですかね」

「……」

「クウの過去聞かせてくれない?」

「また今度な」

「ちぇー、けちんぼ」

「あまり言いたくないだけだよ」

「でも、ソラを倒すいい助けになるかもしれませんよ?」

「まあ、言いたくないならこれ以上聞きませんよ。まあ、あの情報は役に立ちますね。この公園によくいるみたい。そしてその近くに住んでいるらしいね。今度行ってみたら?」

「今度じゃないよ」


 ――――――――――


「あ! ねこちゃん」

「ソラ、名前はなんて言うの?」

 優香が尋ねる。

「みゃりお」

「なんかに言いにくいな……いろいろな意味で」

「可愛いじゃない。野良猫なら拾っちゃば?」

「飼ってもいいんだろうけど、俺が近づくと警戒されて離れてっちゃうんだよな」

「まあ、ソラからも最初は警戒されてたもんね」

「懐かしいな。……なぜか、みんなから警戒されるんだね」

 怪しいセールスマンよりかは圧倒的に怪しくない自信ある。

「にゃ―」

「にゃー」

「にゃーにゃー」

「にゃ! にゃー」

 ソラは動物と会話し始める。

「いいよな。動物と会話できて」

「ニャーニャーしか言ってないけどね」

「あれでも会話できてるらしいからな」

「一緒にやればいいじゃん。ソラって他の人にでもじゅつを適用できるんでしょ?」

「そうなんだけどさ……適用しないでほしいかな。動物が喋れたら怖いでしょ」

「そうね。喋れないことがメリットだもんね」

「というか、喋れたとしても、感情のやり取りというか、まともな会話なんてできない気がするんだよね」

「へえー、たしかに、喋れたとしたら、人間みたいにたくさん繁殖しててもおかしくないもんね」

「うんうん。だから、きっと、人間以上に空気の読み合いをしているんだろうな。『あっちいけー』とか『はらへったー』ということを行動とか仕草で示し、話し相手の動物はその行動がどういう意味を持つのかを読む」

「まあ、それが可愛いのよね。癒される」

「本能のままに生きるか……いいな」

「にゃ―(我が戦略にハマったな)」

「にゃ―(我々の可愛さに見とれてるな。人間)」

「にゃ―(でもそのおかげで、我ら繁殖することができたのだ)

「マーオ(そうよそうよ……じゃなくって)

「勝手に吹き替えしないの」

「優香も乗ってくれたじゃん」

「そういう雰囲気だったじゃない」

 そう言って2人は笑いあい、ソラも楽しそうにしている。

「あ! 公園見て!」

 ソラが窓の外を指指す。

「なにも見えない」

 少なくとも動物はいない……。

「ほら」

「最近あの公園治安悪いじゃん?」

「ソラのおかげね」

「ソラのせいだな」

 優香の言ったことを悠真は否定する。

「そんな事言わないの」

「行ってくるー」

「行ってらっしゃい」

「だめだよ、不適合なんだし、ユーマも行っていって」

「いやいや、おばけとか出そうだし……」

 真っ昼間だというのにそう答える。

「何、怖いのおばけ?」

「人間の本性と比べたら怖くないよ」

「わからないんだけど……何よりかは怖いのよ」

「蜘蛛以上ゴキブリ未満だな」

「そ、それはこわいわね……人間」

 蜘蛛≦おばけ≦ゴキブリ<人間の汚い部分

 というのを読み取り、優香はそう返事を返す。

「困っている人がいる」

「まあ、親切にするのは勝手だけどよ。ここバレてるんだぜ? 奴らの仲間かも……」

「いいの? ほおっておいて」

「人は経験して初めて分かるのさ。処女を捨てたあの時の後悔とか……そういった後悔があって、初めて人は成長する」

「やめなさい?」

「まあ、辛いこととか、実際に経験してわかることもあるのさ」

「とにかく、もう少し共感能力身につけた方がいいから」

「同感ね」

「ひどくね?」

 確かに「あれやばくね?」「やばいよね?」「まじやばーい」という会話からなにも読み取ることができないけど……俺は悪くないよね?

「実際そうでじゃない?」

 少し大人びた声に変わる。

「はいはい、分かったよ」

「早く行ってきて」

 ソラは悠真を押し、窓の外へとほおりだす。悠真は2階からきれいに着地を決めることはできずに、地面へとつっこむ。

 注目される。……見られている。相手は悲しそうな目をしているからか、心なしか見下されているように見られてる気がする……というか見下されてるな。こういうときは、どうするものなのか? 無視するというのは……。

「おい、そこでなにしてんの?」

 恥ずかしい。そんなことを隠すようにその言葉を口にする。が、言っててなにを言ってるのかわからなくなるというか、この文章も意味がちゃんとあっているのかあっていないのか……日本語になっているのかな?

「……」

 悠真の話した言葉に驚いたのか、悠真の汚れた格好に驚いたのか、とにかく、一瞬驚いたような表情を見せるが、すぐに冷静になろうとする。

「あっちの方にいい崖があるぜ」

「ぐrうあ」

「ヘイヘイ」

 ソラは口をぷく―っと膨らませながら、アメリカンスタイルで突っ込みをいれる。

「あきれた」

 悠真の行動には、さすがの優香でもあきれたようだ。

「いやいや、恋愛ってそういうものだろ? 相手を落とすためにな」

「自殺しろって意味じゃなくて安心したけど、あっちに崖なんてないし、落とすの意味が違う」

「そうよ」

「ほら、ユーカでもわかってる」

「あっちじゃなくて、こっちの崖のほうがいいわよ」

「ゆうかも⁉」

「あっちは本物の伝説の崖よ」

「そうだな、本物の愛とは、相手のために死ぬこともいとわないことだ。死ぬと伝説になるとか聞いたことあるな」

「きれいごと⁉」

「ドラゴンボール的なものでもあれば、生き返ることできるのになー」

「ないし! ていうか、そのままドラゴンボールなんですけど?」

「お、ソラ。最近の若い子でもドラゴンボール見るんだなー、いいな、えらい、えらいぞ」

「日本のほこりだからね……ってちがうっ」

「そうそう、日本の誇りだ。だがな、人には過去を捨てて前へ進まなければいけないときもある」

「……うざいからっ、いらないから、その愚痴。誰かさんを代弁したときのような…………ほんとうにごめんね。このひとたち、ほんとうにこういうところあるんだよねー」

 その男はニヤニヤしている。

「だ、大丈夫ですよ」

 その女性は笑ってくれる。

「ソラ……っていうんですね」

 3人の話を聞いていたのだろう。名前を当てられる。

「うん。そうだよ」

「いい名前ですね」

「この目を隠してて、黒いのがユーマで、この藍色の髪をしてる方がユーカ!」

「んふ」

「紹介ひどいな」

「そうですね……僕は、クウです……なんか、自分より下の存在がいるって安心しますね」

「おいソラ、俺こいつよりクズじゃない自信あるぜ」

「どっちでもいいでしょ?」

「そうよ。もし、私の性格が周りの人からわかるなら、私まで屑になるじゃない。だから頑張ってよ悠真」

「いやいや、お前も含まれてるよ」

 優香は、共感してほしかっただけであり、真面目に返答したゆうマニ不満だったのか、普通に悠真の返答自体が不満だったのか、生理中なのかわからないが、少し不満そうな顔をする。

 本当に、人間関係って難しい。そして、こんな事を考えるあたり、俺は人間関係に向いてないと思う。どっちかって言うと友達じゃなくて、会社で一緒に仕事しているだけの仲間とか、ワンピースに出てくる麦わらの一味みたいな、仲間をつくるほうが向いている気がする。

「いいですね。皆さん仲良くて、羨ましい」

 そんなことを思いつつも、周りからは仲良く見えているらしい。

 喧嘩するほど仲がいい。俺はこの言葉が好きじゃないが、この状況には当てはまるらしい。喧嘩を乗り越えられるほど仲がいいに変更してほしい。だって、結婚しても喧嘩とかに乗り越えられなかったんだから。妬み、そねみ、不倫し合う。周りから見てて、被害がないから面白いし、楽しそう。……少子化解消しないかな?

「そう?」

「そうですよ。昔から見てるけど、面白いよね」

「ほら、ソラ。ストーカーされてるじゃん。だから、知らない人に話しかけるなって」

「いやいや、そんなこと言ってないでしょ」

 優香がフォローする。

「そーだよ。保護者がわるい」

「いやー、そのとおりです。すいません」

「で、どうやってこの状況から逃げるの? そもそも、ストーカーなの?」

「ねえ、君の正体は何なの?」

 ソラがたずねる。

「クウっていいます。いやー、楽しませてもらったよ」

 急に喋り方が変わる。

 なにを楽しませてもらったのか。

「ソラどうした?」

 急に下を向く。

「えーっとね……」

「ソラはもう気づいているんじゃないか?」

「まあね」

 その瞬間、悠真と優香は感づく。

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