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Cruel Shall  作者: sy
1/7

待ち伏せ

「ソラ、そっちもってくれ」

「うん」

「よいしょっと」

 そう言って、二人は一緒にテーブルを持ち上げる。

「ピンポーン」

 と、インターホンが鳴る。

 Amazonだろうか? Nyamazonだろうか?

「ユーマ」

 名前だけを呼び、あごで人を使う。ソラがあっちいけという合図を出してくる。

「いや、テーブル持ち上げちゃったし、上には荷物あるし……あっ、」

 するとソラがテーブルを離し、玄関に言ってしまう。せめてテーブルを運び終わってからインターホンに出てほしかった。

「動くな」

 ソラが怪しい男に捕まる。刃物を首の前に構える。……気がする。相手はソラだけを取り出して、ドアの向こうで声をあげる。

「わかった」

 そして、もうひとりはドアから入ってくる。

じゅつは使うなよ」

「そんなこと言ったって意味ないでしょ」

「まあね」

 すでに相手はすでにじゅつを展開している。めんどくさい。

 さらに、相手は炎のじゅつを使う。悠真は相手にバレないように氷で膜を貼り、ガードしようとするが、すべてを防ぎきれるわけではなく、火傷する。そして、相手は追撃してくる。

「あっついった」

「どう?」

「炎の痛さじゃねーな」

 それが相手のじゅつ。能力。

 ファラオスの雄牛とか、一酸化炭素で死ぬことができない。意外と、炎を直で食らうとは痛いらしい。だとしても、全身に響く痛さではなく、なぜか心臓に痛さが集中する。まとわりつくような厄介でうざい痛さ。

「忍耐強いんだね」

「気持ち悪いな」

「ナイスユーマ」

「これがすいの力……」

すい……ね。その、努力もしてないけど転載ムカつく。みたいに聞こえるから、その呼び方やめてほしいな」

わざを馬鹿にしているのか? 貴族様」

「そんなんじゃねーよ……俺の親を教えて欲しいくらい」

「へえ、それはそれは、親の残ったお金で楽しく2人暮らしですか」

「なんでも、いい方向に解釈しないでほしいよな」

 言い訳をする能力には見張るものがある。だって、新年の目標なんて覚えてないし。

「君こそ、悪く捉えるのはやめてほしいな」

 それを謙遜と呼ぶのだろうか?

「そんなに、わざがいやなのか?」

「生まれつきの天才か努力して勝ち取った天才。どっちがいい?」

「そりゃ、生まれつきの天才のほうがいいでしょ」

「そういうこと。すいは生まれつき決まっている能力。親から引き継がれる能力。貴族みたいな能力。だけど僕たちはわざ。奴隷みたいな能力。一部の努力し成功人だけが強くなれる。自分のわざを使っているだけで、自分の分身みたいで嫌だよ」

「そうだな……わざは経験によって身についた能力だもんな」

 一人が世界を変えることはできないし、変えることができるのなら、どれだけ危険な世界が待っているか?

 格別にチートな能力なんてない。魔王も勇者も存在してはいけない。一人が強すぎる。チートな能力を持ってはいけない。それは、ゲームしているときに相手にチートしている人がいるくらいの理不尽さ。

「君の髪と目。共感するよ。真っ黒じゃないか」

「そういう君は、紫の髪に赤色の目。どんな経験をしたらそんな諦めたみたいな髪色になって、そんな辛い経験をしても、諦めてないんだな」

「赤色は情熱の代表なのか?」

 悠真は問いかける。

「だとしても、本当にあっぱれだよ」

 そんな問いかけをしつつも、敵に答える間も与えず、相手を氷で縛り上げる。それも1人だけではなく2人。もう1人は隠れていたのか、隠れると相性がいいじゅつだったのかは分からないが、とにかく捕まえる。

「どうだ? 俺はこいつらを永遠に凍らせることができる。つまり、じゅつが使えなくなるということだ。それとソラを交換してくれないか?」

「はったりだな」

「そう思う?」

 敵は悠真のテクニックを見ている。一瞬で氷で縛り上げ、相手にわざも使わせないという。

「ユーマナイス」

「ソラ、もっと人質らしくしてなさい。大人しくしないと殺されるよ?」

 じゅつの世界と普通の世界。

 いま敵を倒したのは、あくまでじゅつの世界での話。現実世界では解決していない。現実世界で魔法的なものが使えるはずがない。じゅつを発動すると、他の世界と現実世界が同時並行で進むことになる。乱暴な説明だが、1人が2人を操作する。ということになる。わかりにくい。わかりにくいが、ゲームをプレイしている自分と、ゲームをプレイされているキャラクターがいるイメージだ。

 まあ、じゅつのロジックを説明しようとすると屁理屈……こじつけにしかならないのだが。

「だいじょーぶ」

「ソラの力じゃ、抜け出すことも刃に勝つこともできないでしょ」

「ふー、終わった。悠真コイツらどうする?」

「お、優香、ありがと」

「うん」

「……というか、どこからあらわれた?」

「いや、普通に隣に住んでいるし」

「そうだな。まあとにかくありがと」

「うん」

「どうする? こいつらの後始末」

「ゴミ箱にでも入れておけばいいんじゃないかしら?」

「確かに。ものって捨てるとき大変だよな。これいつか使うんじゃないかーって言い訳を考えていたらいつの間にかゴミが溜まっていってしまう。だからこそ、なにも考えずに捨ててしまおうじゃないか」

「いやいや、ひとだからね? 捨てるもなにもないじゃん?」

「ソラ。腎臓片方だけでも2000万はいくらしいぜ」

「悠真。子どもにそういうことは教えないの」

「いやいや、もっとひどいこと教わってる最中ですが?」

「あのー」

 術師が喋る。

「そうね、有効活用したほうがいいわね」

「そういうもんだいじゃないから! ゴミじゃなくてリサイクルに出しても許されないから!」

「えーっと……すいませんでした」

 もう一人も謝る。

「俺は、もっといい活用方法があると思うんだよな。さっきのは倫理的にできないし」

「よかった」

「こんなのどお? 悠真が溶けない氷を作って、じゅつの世界で放置するのは?」

「どんな放置プレイだよ」

「まだそっちのほうがいいね」

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