第三話 討ち死に覚悟の直談判
「手前がこの歳まで嫁の来手もなく、女子の肌も知らないのは・・・この忌まわしいモノのせいなのだ!」
彼は思い切って着物の裾をはだけ、胡坐に座り直して褌をずらし、陽物を主人達の前にさらけ出した。
・・・デロンッ・・・
「お、おおっ・・・こ、これは!」
「キャアア~ッ!」
「ひいいい~っ・・・」
その瞬間のバケモノにでも遭遇したような女達の驚きよう!
ものには動じない落ち着いた主人も、彼の股間から躍り出た怪物にあっけにとられたようだった。
1尺(約30cm) 直径2寸(約6cm)・・・まるでデロリと三本目の足が出てきたように、今まで見たこともない巨大な陽物が出現したのだ。
まさに馬並み!・・・まだ屹立しておらず、芯が入っていない状態でこの巨大さである。
「・・・お、お侍様・・・これはまた、大変ご立派なお道具をお持ちでございますなぁ!このような見事なお道具を拝見するのは、わ、わたくしも初めてでございます、いや、本当にご立派な!」
もの慣れした主人も動揺を隠せず、慎重に言葉を選んでいるようだった。
逆に自分の最大の秘密をさらけ出した代之助は、憑きものが落ちたように冷静になって続ける。
「いくら立派だろうが何だろうが、過ぎたるは及ばざるが如しの例えのとおり、これではものの役には立たない・・・この尋常ではない陽物のせいで、手前はこの歳まで女子とも交われず、嫁の来手もないのだ、ハハッ、このような化け物のような陽物を持っている男の嫁になろうという物好きの女子などいないからなぁ」
「・・・そ、それはまた、お気の毒さまでございます、はい・・・」
主人もどう答えていいのか判らず、なんとも言えない表情を見せて曖昧な返事を返す。
その後ろで女達がおそるおそる、しかしキラキラと興味津々の目で代之助の並外れた巨根をチラチラと盗み見するのだった。
「どうだ、この中の女子で、手前の相手をしても良いという者はおらぬか?代は弾ませてもらうので誰か・・・どうだろうか・・・」
代之助が自分のイチモツを手に持ちグルリと女達の顔を見るが、誰一人として彼の相手をしてもよいと名乗り出る者は出てこなかった。
焦れた彼は、身を乗り出して娼婦一人一人とひざ詰め談判を始めた。
「・・・お前さんはどうだ・・・手前と致してくれるか?」
「えっ、ええっ?わ、わたくしでございますか?・・・ど、どうかその儀はご勘弁を・・・」
代之助は、左端に座ってこわごわと彼の巨根を眺めていた、一番若い娘の方に膝を乗り出して聞いてみたが、彼女は真っ青になって大きく頭を左右に振って奥に引っ込んでしまった。
「それじゃ、お前さんは?」
「い、いえっ・・・とてもそのような物凄いモノ、わたくなどにお相手できるはずがっ・・・オホホホッ」
「わたしも、とてもお侍様のお相手は出来そうにはございません、どうかご容赦ください」
代之助は次々に女達に問うが、皆答えは同じ・・・彼の恐ろしく巨大な野太刀と一戦を交えようという勇気のある女は現れない。
「・・・そうか・・・やはりな、いや、無理ならばよいのだ・・・事が事だから無理強いはせんから安心してくれ、仕方のない事だから」
代之助は次第に落胆の色を濃くしながらも、最後に残った、さっきから一度も言葉を発せずに朋輩と共に笑っていた一番右側の女の前に膝を進めた。
「おまえさんで最後だ・・・どうだろうか、手前の相手をいたしてくれるかな?」
女は歳の頃は二十二、三くらいだろう、ふっくらとした体つきの、どこかおっとりした感じの女だった。
顔かたちはまず人並みで、とりたてて美人というほどでもないが、いつも笑っているような愛嬌のある眼と、肉感的で豊満な肢体が男好きのする女である。
こういった夜の商売をしながらも、どこか明るい太陽のような感じがする女であった。
代之助も彼女の仕草や立ち居振る舞いを見て、この八人の中ではこの女が最も好ましく思えた。
女はおっとりとした調子で言った。
「おほほっ・・・その立派なお道具とでございますか・・・ええ、どうでございますかねぇ・・・」
「い、いや・・・入らなければ無理にはしないし、乱暴もしない、首尾よくいかなかったとしてもそれで良い、代の方も存分に弾むからどうか考えてみてはくれぬか?」
今までの女と違い、彼女は言下に拒絶もせず、顔を赤くして代之助の馬並みの巨根を物珍しそうに見つめて、ただ笑っていた。