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序
俺は本当にろくでもない人間だ。
たくさんの人を傷つけた。最愛の妻ユキエにも、あまりにひどい裏切りを働いた。
天国や地獄が本当にあるとすれば、俺が行くことになるのは地獄の方に違いない。ただ、そのことの意味さえも誰一人知らないまま、永遠に葬り去られることだけは良しとしない。
だから俺は、この本を残しておく。すべての人たちへの懺悔として、あるいは単なる自己満足として、そして後世を担う同志たちのための資料として。
なお、この本はいくつかの問題――と、俺は認識している部分――を含んでいる。文章作成は多くの部分、自動記述プログラムの助けを借りているため、往々にして過剰に装飾的な嫌いがある。また、いわゆる生活記録については、特に後述する「島」から脱出する過程で正確に残されていなかった部分が多く、薄れて不確かな記憶や、類推を含む部分もある。
ともあれ、俺が残しておくべき記録を残す方法としてはこれが最善であると信じ、このような形を取ることにする。個々の記述に不快なものがあったりした場合は、どうか勘弁願いたい。