変死体
『いつも通り、朝4時過ぎに家を出て言問橋を通って6号線から
三囲神社の境内を通って、白鬚橋の方へ川沿いを散歩していたら
急に飼い犬が川に向かって吠え出しました。
朝っぱらからうるさく吠え出し、やめないので
どうしようと困っていました。
吠えている川をみると、何かが浮かんでいる。
しかし、よく見えない。
なんだろうと思って、目を凝らして見ると
うわっ!
人だ!人が浮かんでいる!?
っという事ですぐ警察に通報した。
というのが第1発見者の老人の供述です。』
『ただ…』
部下の刑事がまたまた、意味深に発言する。
『どうした?』
不穏な感じを感じ取りすぐさま聞き返す刑事。
『この遺体、おかしいんです。
お腹にハリがありません。
お腹の中に何もないかのようなんです。』
と若手刑事
『あぁ。』
それは自分も確認していた。川を浮かぶ間に、
魚などに食べられたというわけではない。
外から食い破られた跡がないからだ。
切って臓器を取り出し、また縫合した。そんな跡もない。
そもそも、その様な事をする必要性自体考えられない。
臓器目的なら、臓器を取り出してから縫合する意味が分からない。
遺体を川に捨てて足がつくような事もしないだろう。
死体を独自に処理する場があるはずだ。
『司法解剖の結果を待とうか…』
と鰐淵刑事。
臓器売買に巻き込まれたか…?
そっちの線もあたってみよう…
と鰐淵は心の中で決意の様なものが込み上げてくる。
そう、夢に見た過去の事件を思い出し、
拳を強くにぎり、奥歯を噛み締める。
太ももの傷跡がピリピリと痛みを伝えてくる。
今にも叫びたい衝動が沸き起こるが、ぐっと堪えた。
そして同時に、この白鬚橋の袂で何かわからないが、
悪夢によって起こされてから今の時間までで
底知れぬ違和感を感じている。怒りによるものなのか定かではないが
何かを見落としているのだろうか。
胸の中にモヤモヤとしたものが立ち込めていた。