行方不明者
とあるマンションの1室
寝室からベッドのギシギシと軋む音と
女性の喘ぎ声が聞こえる。
背中に虎の刺青が入っている男が
20代前半の女性と行為に及んでいる。
しかし女性の様子がおかしい
薬でもキメているかのように目の焦点が合っていない。
快楽に堕ちてしまっていると言う表現が合っているだろうか。
1戦を終えると男はタバコに火をつけ、裸のまま寝室を出る。
冷蔵庫を開け缶ビールを取り、一気に飲み干した。
そして、冷蔵庫の奥にあった飴の入ったビンを手に取り、
取り出す。
ビンの中から、飴玉を1つ分取り出し、電灯の光にかざす。
光にかざした飴の中を覗きながら、
男は笑いだす。
『こいつがあれば巨万の富と、どんな女も俺のもとに転がってくる
次はどの女を俺の虜にしてやろうか』
そう言いながら笑いをこらえきれずにいる
寝室に戻り、ベッドで気絶している女をみながら
男は電話をする
『俺だ、一晩だけだったがもうこの女はだめだ。
あの飴のせいでぶっ壊れたよ。処理班を回してくれ。
日本の女性はユーロ圏では高値で取引できるだろ
それでもいい。あとは任せる。
しかし、あの飴は凄いな。
人をこんなも変えてしまうんだからな。』
東京都の行方不明者数は、年間8万7千人に上る。
ただの家出から自殺や事件に巻き込まれたものなど様々だ。
男性が64.1% 女性が35.9%となっている。
年齢に関しては偏りはない。
この数字はあくまで、届けがあった件数である。
そして、この行方不明者の中で自分の意思とは裏腹に
『運』
そう運が悪かったと言わざる終えない者が相当数存在する。
そう、まさにこの女性の様に…。