成れ果て
吹き荒れる熱風が全てを呑み込み砲撃の黒煙もさえ霧散する…
依然として健在を示す破壊の魔獣が大気を震わす程の咆哮を上げ地上に脚をつける…
破壊の魔獣を見つめる女性が手を翳すと不思議な顔をする…
「アクセス出来ぬのか…やれやれ…形が変わってしまい、もしやと思ったが…自ら書き換えたのか…感染しているのか…」
破壊の魔獣が門に向かい歩みを進めて行く…
破壊の魔獣の背中を砲弾が直撃すると黒煙を上げる…大破を免れた魔導カノンから砲撃だ…
「この時代の兵器はなんと脆弱なのだ…これでは1000年前や2000年前の方がマシであるぞ…それほどに人類が肉体的進化を遂げたというのか…まあよいお前を起動差したのも私…戦うのも私…雑なプログラムを与えられてしまったな…1000年前の体は脆かったが、この体はスペックが桁外れだな…上位人種か…」
「念動力…潰れろっ!」
翠髪の女性が手を翳し握り締めると破壊の魔獣の腕の皮を抉り取る…
「とりあえず、細胞を貰うぞ…」
・
破壊の魔獣と女性が交戦している…
魔法のような力を使い破壊の魔獣を傷付けていく…
「何処の隊の者だ!?特務隊か?モンドよ?」
「いえあのよう者は隊には在籍しておりません…殿下いまのうちに撤退を」
食い入るようにライルが戦闘を見つめる…
「そうか…何者だ、何処から入り込んだ…冒険者か…魔女や魔剣士に匹敵する強さだぞ…」
モンドがライル次期国王の肩に手を掛けると話し掛ける…
「不敬を失礼します…殿下これ以上は危険です…破壊の魔獣が迫りつつあります…」
「そこの人間…邪魔だ…いや王国の者か?ならばこれを持ってゆけ、調べれば魔獣への対抗策が打てるはずだ…」
破壊の魔獣の剥ぎ取られた部位を投げつけるとモンドが受け取る、そのままモンドがライルの背を押さえ駆け出して行く…
破壊の魔獣が門に迫り咆哮を上げる…
「この体も限界か…決着は人類に委ねるか…
こんな成れ果てになっていようとはな…希望と名を与えられしお前が…まるで厄災の絶望だな…」
破壊の魔獣が門を破壊すると巨大な魔方陣が湖中央に出現し始める…