魔女の会談
珍しい芸術品や歴史的絵画…
ふんだんに希少宝石が使われたシャンデリアに、希少種白豹の部分絨毯…
歴史古い調度品と真新しい調度品が入り雑じるだだっ広い応接室はいつ見ても悪趣味としか思えなく…この館を管理する者のセンスを疑ってしまうと同時にため息が出そうになる…
「はあ、なんとも言えぬな…」
中立都市エマ中央にある迎賓館である。
定期的に国交条約の確認や新たな条約の協議などを行いに来るのだが、深い問題がなければ駐在する大使に任せればさほど問題なく事が運ぶ、ただ今回は今後における根回し交渉と世界規模で想定される有事の際の物資について協力してもらわなければ成らない…
ふむ、政など妾に向いていないと思うのだが、不思議とこなせてしまうのだ…
さて、いつも通りの魔王国と中立都市の条約文書にサインと印を済ませると本題に移る…
「グレイス代表議員、ウーノス次席議員よ内密の話だ…」
商人組合代表でもあるグレイスが、真剣な表情で頷くと話に応じる。
「女王陛下…今回、黒い鑑でこられたことに意味があるのですね…」
「うむ、御二人には話さなければいくまいな…魔物の大量発生の今後の展開についてだ…
鉱山が襲撃をうける賢者曰くこれは確定だ鉱山は魔力が集まる竜穴の一つだからだ…
先に襲撃を受けた三ヶ所…採石所、王都、我が魔王国そして鉱山が四ヶ所目だ…
これらは竜穴があり2つの門が存在するのだ…門があるのは知っておろう…
魔物達は門と竜穴の解放を行っていると思われる、現在確認出来てる敵は最古の古竜…
これは北の魔剣士が交戦し賢者が目撃している…
魔剣士と賢者が古竜とコンタクトしたところ、人類を滅ぼす為に門の解放を目論んでいて異世界の強力な魔物を呼び出そうとしている…」
「我々に、何をさせようと…」
「簡単なことです…物資の提供です…」
「しかし門は陛下や、あの魔剣士や賢者が守っているのですよ敵が攻めてこようと問題ないのではないのですか?」
ウーノス次席議員が声をはさむ。
「ふむ、先日5番目のゲートが確認されたのだ…守護者のいない門など、危険きわまりないのだ、そこでだ…こちらから攻め入り強力な魔物を葬るのだ、幾千幾万の勇者を送りこむ。」
「物資を提供する我々のメリットは?」
「ふむ5年間…中立都市への穀物意外の物流税を2%高くする…各国への説得を試みよう、その為の黒い鑑だ」
「勝てる見込みは有るのですか?」
グレイス代表議員がうつ向きながら呟く…
「勝たなくては成らない…」
夕日が射し込む部屋には本気の魔女の顔があった…