始動
白い水鳥たちが、一斉に羽ばたいて行く…
今日も港に船が入ってくる…
大きな帆船や漁師の小型船が停泊しており、港には、活気が溢れている。
「シアさん、どうして隊抜けちゃったんですか…?」
水平線を眺めながらシャミィが聞いてきた…
「なんと無く…かな…」
別に辞めたい理由は無かった…素晴らしい友人が出来それなりの仕事と暮らしを約束された、充実していたはずだ…
宝石色や金属色の隊員たちと切磋琢磨してきたと思う、強くなるための努力もしていたし、天賦の才とも持て囃された…っけ…
あっ…
思い出した…
辞めた理由…
水平線を眺めながらシアが答える…
「あっ、思い出したわ…!すっかり忘れていた…きっかけが有ったんだわ、うんうん」
まさか、隊抜けた理由が…男とか?まぁモテナイよりは、モテル方だ思うけど…
「きっかけ?」
「そうそう隊に天才が入って来たんだ!」
男じゃないのか?
「そんな奴いましたっけ?」
「そいつさ宝石色でも、金属色でもなくてさ、普通色でさ、ガキのクセして、なんてゆうのかな型に嵌まらないとか、自然体と言うか私を含める隊の誰もが、持ってない物を持ってるというか…そいつ見てるとさ、私も違う感性もたないと駄目だなって感じになっちゃったんよ…」
「へぇ~そんな奴いたんですね…もう辞めた人ですかね?」
「いやいや、辞めてないはずだ」
「じゃ、長期任務についてるんですかね?」
「そうかも知れないな…」
お前のそう言うところも天才だよ…
「シャミィどうするんだ?鉱山に付いてきてくれないか?」
「いや、自分の任務はここ迄です…」
シャミィが自分の胸に拳を当て隊の敬礼をする…
「そうか…」
「だって、あの子らと居たら情が沸いてきそうで…シアさん情沸いてるでしょ?」
シャミィめ、はにかんだ笑顔みせやがって…仕方ないか…
「そうかもしれないな…」
・
・
あたり一面が一気に暗く影がかる…
「なんだっ!」
上空を見上げる…
「飛空挺です、いや飛空艦…!?」
シャミィが答える…
飛空艦の高度が下がってくると、飛空艦から有翼の旗を持った魔人たちが甲板に現れる…
港管理局が飛空艦に対し3番ドックに入るように指示放送してるようだ、甲板に待機していた旗持ち達がドックに誘導し停艦させる…
「かなりの練度だな…何処の艦だ…七芒星に剣を掲げた魔女のエンブレム…魔王国の女王か!?私も昔見たことあるが艦体が白でもう一回り小さかったぞ…」
シアが呟く…
「いや、シアさんが、昔みた白い艦は【壱番艦ウィッチオブアルケミア】です…目の前のあの黒い艦は【零番艦クイーンオブウィッチ】魔王国旗艦ですっ…!」




