合流
太陽が一番高く昇っている…
何処からともなく料理を作る匂いが漂ってくる、あたりからも炊事の煙や湯気が目立ってきた…
冷たい空気の中、煙や湯気を見上げると、空高くから、ふわりとした雪が舞い散るかのように降ってくる…
そっか…もうこんな季節だったんだな…
アンナちゃんの小剣で打ち降ろされたボクの剣が転がっていて、割って入ったアンナちゃんに抱き着かれ身動きが取れない状態だ…
「傷つけ合うなんて駄目だよ…」
仕方なかったんだ…
「荒療治だったんだ…」
「それでも駄目だよ…」
「ごめん…」
ふとオニキスを見るとボクと同じような感じで仲間の子に拘束されている…
ウルマちゃんがオニキスに何か言い終わると、こっちに向かってきた…
「ウルマちゃんごめん…」
「モルちゃん…分かるけど…なんで…相談してくれなかったのかな?未来を変えたいのは私も同じだよ…」
「………………」
「わかったなら、約束…」
「わかった…」
「こいつには、こいつの思いと信念が有ったんだ、そうしなきゃここまでしない…汲み取ってやれ…覚悟が無ければこんなこと出来ない…」
意外だったシャミィさんが擁護してくれるとは思わなかった…
「もう、大丈夫?」
「アンナちゃん、もう大丈夫…」
さてと…オニキスに話しをしにいくとするか…
立ち上がると、ちょうどオニキスがこちらに近づいてきた…
「相変わらずだな…モルちゃんは……損な役ばっかりして、辛いのに涼しい顔して…全部、僕の為だったんだろ…」
あー、ウルマちゃんか…余計な事言ったの…
「自分の為だ…ボクは自分の事しか考えない…」
「生きてたんだね、オニちゃん…てっきり虎に食べられたかと思ってたよ」
アンナちゃんもオニキスを見た最後の光景が焼き付いているみたいだ…
「黒うさ君、私に皆のこと紹介してくださいですよ」
んっ、オニキスと近いなこの子…
「久しぶりだな、シャミィ!」
この人がシアさんでオニキスの師匠か…
「シアさん、なにやってるんですか…捜すの目茶苦茶苦労しましたよ…お陰で休暇飛んじゃいましたよ…知らない間に隊からいなくなってるし…」
とりあえず…気まずい雰囲気は流れて行きそうだ…ウルマちゃんが少し納得していなさそうだが…多分アンナちゃんが何とかしてくれるだろう…
「そういえば、お昼まだですよね、あたし美味しいお店見つけたんですよ、ねっ、うーちゃん」
ほら、流石アンナちゃんだ…




